四人 ページ37
あれからニヶ月が経ち、俺の退院が決まった。
光里や善野さんは一足先に退院していたが、俺を迎えにきてくれると言っていた。
光里はあのあと、一週間俺の病室への出入りを禁止されたが、毎日電話をかけてきて、禁止令が解除されたあとは俺の病室に入り浸りになっていた。
善野さんとは、あれから話していないが、定期的に俺の病室の扉の前に来ていたらしい。
扉のスモークガラスから、背の高い男の人が廊下でうろうろしているのが見えた。
多分、話したいけど気まずくて病室に入れない、という状況だったのだと思う。
そして、退院の日がやってきた。
久々に着る私服は、前よりもブカブカに思えた。
歩けるようになったとはいえ、筋力はだいぶ落ちているのだろう。
荷物は既に運び出されているらしく、受付で手続きを終え、そのまま外に出た。
「あ、来た!よーがー!」
光里がこちらに向かって手を振ってくる。
その後ろでは、善野さんが俺の荷物を車に積んでいた。
「さ、早く乗った乗った!」
「ちょ、急に引っ張んなって!」
半ば無理矢理車に乗せられる。
光里は俺の隣に、少しして善野さんも運転席に座った。
「えっと、今から陽雅の家に行って、陽雅のお母さんに退院の報告だね」
「そうだね、君達も明日から大変だと思うし、今日は家でゆっくりすると良いよ」
「善野さん、大変、って?」
すると善野さんは一瞬言葉を詰まらせるが、すぐに話し出す。
「ほら、夜光君って一人暮らしだっただろう?ご両親も既に故人だしね。だから、君達に遺品整理を頼もうと思ってるんだ」
「遺品整理……」
遺品整理、その言葉に胸が締め付けられる。
そうか、本当に死んでしまったんだ。
酷い現実を、突きつけられた。
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もくもく@鬼灯なぅ - みーさん» あ、本当ですね!ご指摘ありがとうございます! (2015年11月7日 1時) (レス) id: 4a5e4162ae (このIDを非表示/違反報告)
みー(プロフ) - 報告書二枚目の、近所の大学生と若い警官数名が犠牲になった事件で、夜行が夜光になっています。故意でしたら、すみません。 読んでいてとても引き込まれる話で、面白いです。私もこんな風にかければなあ笑 (2015年11月4日 20時) (レス) id: bcd7e9b2cd (このIDを非表示/違反報告)
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