九羽 ページ28
「いって……、うわ、結構高い所から落ちたな……」
地面に叩きつけられた直後、少し気絶していたらしい。
目を覚まし、上を見上げれば、俺が落ちてきたであろう崖。
俺は、幾分か落ち着いた脳味噌で未だ考えていた。
あのAが死ぬ訳がない。
そう思っても、あの墓に刻まれた文字は変わる訳がないし、Aが帰ってくる訳でもない。
本当に、死んでしまったんだ。
その現実に、だんだん血の気が引いていく。
ああ、俺の所為だ。
俺があいつを止められなかったから、Aは死んだ。
俺が悪いんだ。
……こんな俺じゃ、生きていても仕方ないじゃないか…………。
何処か、別の場所に行かないと………。
痛む全身に鞭を打ち、俺はその場を後にした。
ーーー
歩けども歩けども、一向に森から出られる気配はない。
完全に、迷っているようだ。
このまま死ぬのも悪くないな、と内心苦笑する。
ずっと歩いていたせいか、だんだん脚がふらつき始めた。
そして、倒れる身体。
もう、指一本動かすことすら面倒だった。
自分はこのまま死ぬんだろう、と思った。
そして俺は、目を閉じようとした。
しかしその時、向こうにも倒れている人が見えた。
その影には、何処か見覚えがある。
このままではどうにも気になって仕方ないので、見にいく事にした。
ーーー
一歩ずつゆっくりと進んでいくと、段々嫌な匂いが漂ってきた。
まるで、何かが腐っているような、そんな匂い。
それは近寄る度に強くなっていく。
そういえば、この匂いを前にも嗅いだことがあった。
そうだ、アイツだ。
Aの匂いだ。
死体の匂い、乾いて、腐って、ボロボロになった。
じゃあ、アイツが此処にいる？
「………アハッ、ハハハハハッ」
自然と、笑みが溢れた。
ほら、死んでなんか無かったじゃないか。
そうだよ、死ぬ筈が無いんだ。
俺と同じで、崖から落ちて、打ち所が悪くて動けないだけなんだ、きっとそうだ。
人は、水さえあれば数週間は生きられる。
Aなら、もっと生きていても可笑しくない筈だ。
俺は走り出していた。
早く、Aの顔を見たかった。
もうすぐ、もうすぐで顔が見える………。
もうすぐで……！
「………え？」
俺の足が止まる。
「……なんだよ、コレ」
其処に居たのは。
「何なんだよっ！！」
女の人の、死体だった。
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もくもく@鬼灯なぅ - みーさん» あ、本当ですね！ご指摘ありがとうございます！ (2015年11月7日 1時) (
レス) id: 4a5e4162ae (このIDを非表示/違反報告)
みー(プロフ) - 報告書二枚目の、近所の大学生と若い警官数名が犠牲になった事件で、夜行が夜光になっています。故意でしたら、すみません。 読んでいてとても引き込まれる話で、面白いです。私もこんな風にかければなあ笑 (2015年11月4日 20時) (レス) id: bcd7e9b2cd (このIDを非表示/違反報告)
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