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もし皆が助かるならば… ページ10

陽雅side



「逃げない?じゃあ……今此処で死ねよ」



そう言ってナイフを構え、善野さんに向かって突進するA。



その瞬間、身体が勝手に動いていた。



全力でAの方に走り、拳を構える。



Aは俺には気づいていないらしく、その目は真っ直ぐに善野さんを捉えていた。



無我夢中で、Aの頬を殴る。



その反動でナイフがAの手から落ちた。



それを確認し、Aを抱き締める。



「……陽雅…?」



「ッ馬鹿野郎!!何やらかそうとしてんだ!」



抱き締める腕が強くなる。



「………苦しいんだけど」



「ならそのまま死んじまえ!……どれだけ心配したと思ってんだよっ……!」



知らない内に、俺の目からは涙が溢れていた。



クッソ、カッコ悪い……。



突然、肩をガシリと掴まれ、引き剥がされる。



目の前には、Aの顔。



なんとなく、その目が赤くなっているように見えて、少し笑った。



「……何笑ってんだよ」



「いや、なんか泣いてるみたいで………」



「泣いてねぇし!お前の方が泣いてんだろ!」



「ハァ?!誰のせいだと思ってんだよ!」



そんな俺たちのやりとりに、警官達は唖然としていたが、誰かが、



「か、確保ーーー!!!!!」



と叫ぶと、皆我に返り、俺たちに向かって走ってきた。



俺は善野さん含む数人の警官に保護され、Aは警官達に取り押さえられた。



一人が今の日付けや時刻を言い、手錠を掛ける。



まるで刑事ドラマのようなその光景を、俺はただ眺めるしかなかった。



警官に立たされ、パトカーへと向かうA。



そして、俺の目の前に来た時に一瞬足を止め、俺を見た。



その顔を見て、俺は、驚くしかなかった。



初めて見た表情に、目を見開く。



一瞬だけ見えた、笑顔。



しかしAは直ぐに元の表情に戻り、さっさとパトカーに乗り込んで行ってしまった。



後に残された俺たちの元に、一人の警官が走ってくる。



それは、光里が目覚めた、という知らせだった。



Happy end.

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もくもく@鬼灯なぅ - みーさん» あ、本当ですね!ご指摘ありがとうございます! (2015年11月7日 1時) (レス) id: 4a5e4162ae (このIDを非表示/違反報告)
みー(プロフ) - 報告書二枚目の、近所の大学生と若い警官数名が犠牲になった事件で、夜行が夜光になっています。故意でしたら、すみません。 読んでいてとても引き込まれる話で、面白いです。私もこんな風にかければなあ笑 (2015年11月4日 20時) (レス) id: bcd7e9b2cd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もくもく@鬼と神獣 | 作者ホームページ:http  
作成日時:2015年10月26日 2時

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