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弱虫リグレット 2 ページ2

1、
それは、雪がまだ街にちらつく頃の話。僕は白い息を吐きながら、学校へと向かっていた。図書館で勉強するためだった。まだまだ受験には時間に余裕があるが、早めから勉強しておきたいからな。学校にはまだ部活動を行っている奴らがちらほらいて、そんなに静かではない。僕?僕は部活をやっていないのかだって?そんなもの、上下関係と訳の分からぬルールに縛られるだけの鳥籠だ。結局は飼い主に躾けられてしまう。僕はそんなものに自ら飛び込むほど馬鹿じゃない。
幸い図書館には図書委員しかおらず、本を読んでいただけだった。僕が扉を開けると、面倒くさそうに目線を上げ、すぐに本へと戻した。僕は席に着き、参考書を広げる。
カリカリと、ノートにシャーペンを走らせ、僕は参考書の世界へと入っていく―――

「・・・はっ!!」
気が付けば、もう六時。もう学校の外は星が瞬いて、すっかり暗くなっている。学校の中も静まり返っている。ノートには無数の文字列。それを満足そうに眺めると、鞄に仕舞った。図書室を出ると、部活終わりで帰る奴らの姿を沢山見かけた。キャッキャと騒ぎ、大声で友の名を呼びながら散りじりになって帰っていく。そんな様子をしばらく眺め、気分が悪くなった僕はケッと憐みの視線を投げかけて、可哀想な奴らだな、と思いながら階段を降りる。鳥籠の中で、自分は特別だと思い込んでいる奴らなのだ。せいぜい思い込んで置けばいい。そしてすべてが終わった後で、自分が手のひらで躍らされていたことを知るのだ。
校門へと向かっていると、体育館から凛とした声が聞こえてきた。ほとんどの部活は終わっている時間だ。なぜか興味をそそられた僕は、体育館へと向かった。いきなり飛び込むのは失礼だ、と思いそろそろと近づく。僕にだってそれぐらいの常識はある。近づいてみると、その声は、胸を打つかのように心に響く。それは何らかのセリフを言っていることが分かった。つまり演劇部の練習をしているのだろう。そっと体育館を覗くと、そこにはオレンジ色の淡い光の中、舞台上に立つ少女がいた。彼女は大きく手を振り、
「なぜ!あなたは行ってしまうのですか・・・!!」
「あぁ…あれほど愛していると言ったのに…っっ」
彼女は台本も見ずにすらすらと言葉を並べる。その様に、僕はすっかり心を奪われていた。呆然と彼女の姿を眺めていた。まるで夢の中にいるような気がした。

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怪盗blossom@葵華(プロフ) - 夜月さん» 楽しみにしててください!そう言っていただけると励みになります!! (2016年9月25日 8時) (レス) id: bfcdada36f (このIDを非表示/違反報告)
夜月(プロフ) - 怪盗blossom@葵華さん» 許可ありがとうございます!早速掲載させていただきますね!続きも楽しみです…! (2016年9月25日 0時) (レス) id: 2e2f9ea934 (このIDを非表示/違反報告)
怪盗blossom@葵華(プロフ) - 夜月さん» 全然構いません!むしろこちらからお願いします! (2016年9月24日 23時) (レス) id: bfcdada36f (このIDを非表示/違反報告)
夜月(プロフ) - 参加ありがとうございます!よろしければホームページのほうにもリンクさせていただきたいのですが、大丈夫でしょうか? (2016年9月24日 23時) (レス) id: 5511e2a05d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:怪盗blossom | 作者ホームページ:https://twitter.com/kaitoublossom  
作成日時:2016年9月24日 21時

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