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A「……誰も見てないよね？」
周りに誰も居ないかキョロキョロと確認してから
屋上への扉を開いた。
A「っは〜〜！！！気持ちいい…」
腕を伸ばし、深呼吸する。
本当は立ち入り禁止になっていたんだけど
最近扉の鍵が壊れていて外に出れることが分かり、
お昼休みや休憩したいときはここに来るようになった。
A「よし、ごはん食べよ！」
シンプルなバックから取り出したのはパステルカラーのお弁当箱。
うん、とっても可愛い。
デスクでこんな可愛いお弁当箱を出すなんて絶対できない。
でも、屋上は誰もいない。
だから好きなものを好きって言える、
私にとって大事な場所。
A「今日はちょっと風が強いなぁ。あ、桜……」
お弁当箱の中に、桜の花びらが落ちてきた。
A「…ふふ、可愛い…」
大橋「…………A先輩？」
A「………………え！？！？！？」
えっ嘘、なんでここに大橋くんが！？
びっくりしすぎて固まってしまう。
大橋「ゆっくりごはん食べたいな〜って思って場所探してたんですよ〜！あ、一緒に食べてええですか？」
隣に座り、いそいそと食べる準備を始める大橋くん。
確かにいつもお昼休みは女の子たちに囲まれていて大変そうだと見ていたけど
まさかここがバレるとは……
大橋「…ふふ、先輩も悪い子ですねぇ？ ここ本当は立ち入り禁止やろ？」
にやっと笑いかけられる。
……そういえばそうでした！！！
後輩にこんなところを見られるなんて…
A「うぅ……すみません… ここ、本当に大事な場所なの。 だから誰にも言わないでくれる…？」
他の人も来るようになっちゃったら
また本当の自分を隠さなくちゃいけない。
大橋「そんな心配そうにしなくても誰にも言わないですよ〜！ だから安心して？」
ね？とふわっと笑ってくれた。
よ、よかった！！！
笑顔が可愛い…天使だ……
大橋「でもまぁ、」
A「？」
大橋「言わない代わりに、お願い事聞いてもらおっかな。 先輩？」
前言撤回。 悪魔だった。
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作者名：ゆい | 作成日時：2022年11月9日 15時
