病室で二人は ページ7
俯き頭をガシガシと掻き、表情は曇っていた。
そして、男は顔を上げ、私を見た。
｢あと、ここにいるのが、もう嫌だ。｣
『…………はい？』
｢身体も頭も別に何ともない。もう、出してくれ。｣
『今すぐは無理、です。』
｢………………チッ。｣
この人、舌打ちした！？
……私の頭が痛くなってきた。
この先どうしたらいいか考えたら、私は頭を抱えた。
『とりあえず、朝、担当医師に相談してみます。それまで、我慢してください。』
｢…………お前、名前は？｣
『鈴木Aです。』
｢A、か。｣
流石、外国人だ。フランクだな。
『では、行きますね。』
椅子から立ち上がると、ユースタスさんはこちらを驚いて見た。
｢まさか、帰る気じゃねェだろうな？｣
『え？帰りますけど。』
｢…………一緒にいるって言ったじゃねぇか。｣
その言葉に少し、ドキっとした。
『私がいたらゆっくり休めないじゃないですか？』
｢今は、居ねぇ方が落ち着かねぇ。｣
『！』
この人、何てストレートに物事を言うんだろう。
きっと私の顔、赤い。
何気なく言ってるかもしれないけど、聞いてる私が、恥ずかしくなっちゃうよ。
『じゃあ、ユースタスさんが寝るまででいいですか？』
｢…………………………わかった。｣
不満そうに、納得したようだ。
『あの、言いにくいですが、記憶喪失かもしれません。ただ、一時的なものかもしれません。今は、しっかり休んで下さいね。』
｢記憶喪失、か。じゃあ、ここの国の特徴とか、教えてくれ。お前が知っていることも。あと…………お前のことも。｣
『！…………ふふ、いいですよ。』
そう言って、私は笑って見せた。
赤髪の彼は、とても前向きだったから。
記憶喪失って聞いて、落ち込むかと心配した。
だけど、すぐ上を向いて歩き出しそうな向上心に、私は少し羨ましくさえ思えた。
自分の事に興味を持ってくれた事も、何故か嬉しくなってしまった。
私は世の中の事、日本の事、そして自分の事も、少し話した。
彼は眠ることなく、ベッドに胡座(あぐら)をかいて私を穏やかな目で見つめ、話を聞いてくれていた。
そんな時間が、静かで、温かくて、不思議と心地よく感じてしまった。
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弱音ハクはオレの嫁(プロフ) - 面白かったです！キッドの小説は少ないので見つけられると嬉しいです！ (2021年4月12日 15時) (
レス) id: ccc8b6f347 (このIDを非表示/違反報告)
心遥 - お大事に〜！！！！！ (2016年5月17日 16時) (レス) id: 24e2ac7908 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉＊(プロフ) - 心遥さん» まだ良くなってません(゜ロ゜;久しぶりに風邪引きました(>_<) (2016年5月15日 7時) (レス) id: 02f81fdce9 (このIDを非表示/違反報告)
心遥 - 風邪？！？！大丈夫ですか？！ (2016年5月13日 17時) (レス) id: 24e2ac7908 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉＊(プロフ) - 心遥さん» 今風邪引いてて更新が遅くなりそうですが、よろしくお願いします(;ﾟ∇ﾟ) (2016年5月12日 13時) (レス) id: 02f81fdce9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紅葉＊ | 作成日時：2016年3月24日 5時
