道筋 ページ44
本を何冊か手に取り、トラファルガーさんは｢行くぞ｣と言い放ち、歩き始めた。
オペ着じゃなくて、ジーンズにシンプルなシャツに着替えられていて、更にスタイルが良く見えた。
女に不自由したことはない、なんて自分で言うくらいだから、向こうの世界でもそうだったんだろうな。
資料室を出て、薄暗い廊下を歩きながら、私は疑問に思っていた事を聞いてみることにした。
『何故……、海賊なのに外科医なんでしょうか？』
｢両親が医者だったからな。｣
『え…、両親が医者なのに、海賊に？』
｢もう家族はいねぇよ。
俺が幼い頃に殺された。…………政府によって｡｣
『政府が…？』
｢俺は世界政府が許せねぇ。俺の大事なモノを奪った奴等を、殺す。｣
『世界、政府……？』
｢外科医はただ単に大事なモノをを守るための手段だ。知識はないより、あった方がいい。｣
『変ですけど、なんだか海賊への偏見が取れてきました。』
｢別にどんな目で見たって構いはしねぇ。海賊は自由だ。法もルールにも縛られねぇ。｣
『その考え方はちょっと、羨ましいですね…。』
｢こっちの世界はルールだらけで息苦しい。よく今まで生きてきたな。｣
『……当たり前だと思ってますから。』
｢ククッ、違いねぇ。｣
人には色々な道筋があると思う。
思想も、行動も。
それは今まで生きてきた環境の中で変化し続けて、自分で選択していくもの。
彼は、辛い過去から生み出された感情から、海賊という道を選び、自分の守りたいものの為に医学を学んでいった。
そう思ったら、道理が通っていると感じた。
午前2:00。
NEW GATEに到着した。
『トラファルガーさん』
扉に手を掛けたまま、彼は振り返った。
店に入る直前だが、私はトラファルガーさんを呼び止め、彼を真っ直ぐ見た。
『あなたが元の世界の帰れるように、私は協力します。だから、安心してください。』
｢───俺が不安だと言ったか？｣
『いいえ。だけど、元の世界に仲間がいるんでしょ？心配、してるんでしょ？』
｢ふん、｣
『え、何それ！！』
｢…………生意気。｣
『え？』
腰に手が伸びてきたと思えば、抱き寄せられて、抵抗する間もなくキスが落ちてきた。
それは、今までされたキスの中で一番優しいキスだった。
唇を離すと、熱っぽい瞳が私を見た。
さっき見た優しい笑顔が、今度は目の前で向けられた。
｢お前がいるなら、こっちの世界も悪くねェかもな。｣
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弱音ハクはオレの嫁(プロフ) - 面白かったです！キッドの小説は少ないので見つけられると嬉しいです！ (2021年4月12日 15時) (
レス) id: ccc8b6f347 (このIDを非表示/違反報告)
心遥 - お大事に〜！！！！！ (2016年5月17日 16時) (レス) id: 24e2ac7908 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉＊(プロフ) - 心遥さん» まだ良くなってません(゜ロ゜;久しぶりに風邪引きました(>_<) (2016年5月15日 7時) (レス) id: 02f81fdce9 (このIDを非表示/違反報告)
心遥 - 風邪？！？！大丈夫ですか？！ (2016年5月13日 17時) (レス) id: 24e2ac7908 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉＊(プロフ) - 心遥さん» 今風邪引いてて更新が遅くなりそうですが、よろしくお願いします(;ﾟ∇ﾟ) (2016年5月12日 13時) (レス) id: 02f81fdce9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紅葉＊ | 作成日時：2016年3月24日 5時
