帽子と、黒髪の男 ページ23
只今、18:30。
看護記録も終わり、準夜帯のナースに必要な報告を終え、更衣室に向かった。
今日はたまたま帰りが誰とも重ならなかったため、一人でエレベーターに向かった。
１階にある更衣室も、この時間になるとガラガラで大方の日勤帯ナースは帰宅しているであろう。
エレベーターで一階まで降りると、外来は受診時間外のためかシーンとしており、薄暗い。
少し裏口通りの薄暗い廊下を歩いていると、背後に何か気配を感じ、振り向いた。
誰も、いないか。
ふと足下を見た。
これは
帽子？
さっきは歩いていた時はこんなもの無かった。
それは、降って来るかのように現れたフワフワの、ヒョウ柄のような帽子。
手に取ってみれば、たぶん男性物サイズ。
まぁ、帰りに救急外来の落とし物boxにでも入れといてもらおう。
更衣室に入り、通りにある洗面台に帽子を置けば、私は着替えをした。
今日も疲れたな。
なんて考えながら着替えを終えると、私は帽子の事なんてすっかり忘れて、帰り道を進んだ。
置き去りにされた、フワフワの帽子は暗い女子更衣室に置き去りにされた｡
只今、19:00。
あたりはすっかり暗くなっていた。
自分のマンションの階段を登る。
廊下の電気はそんなに物凄い明るいものではない。何気なく部屋に向かっていた。
すると、うずくまっている部屋の前の人影に気付く。
キッド？
でも今日は仕事初日のはず。
何か違う。
おそるおそる近付く。
顔は見えないが、ヒョウ柄模様の細いズボン、黄色のパーカーが印象的な黒髪の男の人がいた。
なんかこれ、デジャヴだな。
何か嫌な予感がした私は近くまで来たものの、キッドの時のように声を掛けず、後退りをした。
｢おい。｣
『！！』
低くひどく艶のある男の声にビクッと足を止めた。
伏せて見えなかった顔が上がる。
そして、ゆっくりとこちらを見れば、整った男の顔がはっきり見えた。
隈のあるその鋭い目が、怖い。
｢聞こえてんのか。｣
怖い。
その人はすくっと立ち上がると、キッドよりは小さいが、この人も相当デカい。
威圧感のある視線で、私を見下す。
｢海がねぇ。船もねぇ。｣
｢一体ここは何処だ。｣
私は踵を返し、逃げ出した。
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弱音ハクはオレの嫁(プロフ) - 面白かったです！キッドの小説は少ないので見つけられると嬉しいです！ (2021年4月12日 15時) (
レス) id: ccc8b6f347 (このIDを非表示/違反報告)
心遥 - お大事に〜！！！！！ (2016年5月17日 16時) (レス) id: 24e2ac7908 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉＊(プロフ) - 心遥さん» まだ良くなってません(゜ロ゜;久しぶりに風邪引きました(>_<) (2016年5月15日 7時) (レス) id: 02f81fdce9 (このIDを非表示/違反報告)
心遥 - 風邪？！？！大丈夫ですか？！ (2016年5月13日 17時) (レス) id: 24e2ac7908 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉＊(プロフ) - 心遥さん» 今風邪引いてて更新が遅くなりそうですが、よろしくお願いします(;ﾟ∇ﾟ) (2016年5月12日 13時) (レス) id: 02f81fdce9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紅葉＊ | 作成日時：2016年3月24日 5時
