夢見て潰して愛させて、 (ページ44)

今日:9 hit、昨日:4 hit、合計:25,054 hit

#038 ページ44

You side

男女が二人、ネオンの街を進んでいく。

こんなのここらでは当たり前の風景だ。

ただ、自分がこんな所を歩いても良いのか

ひたすら心の中で問いかける。

あたしみたいなのにこんなキラキラ似合わない。

ましてやこの横顔も綺麗な金髪の彼も

あたしには似合わない。

『健人、緊張してる？』

「するよ、そりゃ」

『ほんまに？健人は、よく来るんちゃうん』

「…にしても、好きな人と急にこんなのは、」

あ、逃げた。

合ってはいるんや。

やっぱり風俗の子とかなのかな。

もしかして彼女？

あたし、何も知らない彼を好きになったんかな。

いやでも、健人は覚えてないのかもしれないけど

あたしにとってはヒーローなんだよ。

一方的な想いでは、無いんだよ。

あたしも、死ぬほど好きやのに。

何かが彼に「好き」を言わせてくれない。

「…ココ」

『あぁ、ここか』

「なぁ、ほんまに後悔せぇへん？」

『する訳無い、しないから来たんやろ？』

「…分かった。」

そうして自動ドアがゆっくり開いて

ピンクに光る卑しげな雰囲気の照明が中へと誘う。

あたしにはどうも眩しすぎる。

「ここでええ？」

『何処でもどうぞ』

「ほなそうしよか」

鍵を持ってエレベーターに乗り込む。

今更ながら、少し怖さもある。

でもそんなの良い。

あたし今、満たされたいの。