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・10話 ページ10






目があった気がしたのは
気のせいなんかじゃなかった。




彼は目があったかと思うとすぐ
車から降りて真っ直ぐこちらに向かって歩いて来る。






目が、反らせなかった。



初めて会ったはずなのに
初めて会った気がしなかった。
ずっと前から知ってるような気がした。


そして、
抱きしめられたいと思った。
抱きしめてあげたいと思った。




あぁこれが一目惚れか。
自分の持っている1輪の青い薔薇を見て
涙が出そうになった。




ついに彼は目の前にいた。
彼も私も何も言わなかった。

何も言わないまま抱きしめられた。
そのまま彼は私の背中と足の後ろに
手を添えたかと思うと私を抱き上げて、
近くのひとけのない狭い路地に入った。



「待っ‼んっ…」



待ってという前にキスをされた。
キスをすることが初めてではなかった。
でも高校生の私にはあまりにも
大人なキス。


タバコの味がする彼のキスに
私は溺れていった。



「お前、名前は。」

彼は私の両手を左手で抑えながら
なれた手つきで私の制服を
みるみるうちに脱がせていく。



「一っノ瀬、…ぁ、Aっ!」

「A…か。
 
 見る限りまだガキだな。」


彼は話しながらも
キスをして私の胸をいじってなめて。
私は立ってるので精いっぱいだった。



彼は大人だった。
今まで会ったどんな人よりも
危険で怖くて、魅力的だった。






〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「お前、処 女だったのか。」


路地の中、ソレが終わったあとに
血がついた地面を見て彼が言う。


「うん。」



「…悪い。」


こんなに求めたのはお前が初めてだ。
聞こえるか聞こえないかの
小さな声だった。

そういえば、
私は重要なことを彼に聞いていない。



「貴方の名前は?」

「…


 ジンだ。」


「よろしくね、ジン。」



その間はなんだろうとか、
姓はなんだろうとか、
色々疑問はあったけど聞かなくてもいい。
ジンが聞かれたくないのなら
私も聞きたくない。




「今日からお前は俺の女だ。」



その言葉はストンと落ちてきた。

普通出会って1日で
抱き締められて、キスをして
それ以上のことをして、告白されて、
なんて有り得ないことだろうけど
それが当然かのようにジンが笑うから。



「拒否権は?」

「あると思うか?」


ニヤっと笑うジンが好きだ。


「あったとしても拒否なんてしない‼」








これが私達の出会い。
1輪の青い薔薇が運んでくれた大切な人。

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ゅゅ - めちゃくちゃ好きです……この小説で警察学校組に興味を持ったのでほんとに感謝です、!!更新待ってます! (2021年5月22日 10時) (レス) id: cd6ed5edd7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2019年8月18日 11時

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