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・18話 ページ18

Side 降谷





今日の練習は海での強化練習だそう。
陽はチカチカと照っていて。




立っているだけでも汗が流れた。






「海だー‼」




と、はしゃいだ声で叫ぶのはAで。
俺とその隣にいたヒロは
ため息が溢れる。



「おいおい、あいつ今日訓練だって分かってん
 のかー?」


「…まったくだ。」




その直後に隊長の声が聞こえて。




えー。と、
全体に呼びかけるようにして言う。


「砂浜でのトレーニングは
 普段使わない筋肉を使う。
 遊びだと思わないように!」





その目は明らかにAだけを捉えているようで。





またもヒロとため息が重なった。






「A、隊長に睨まれてたな」





それなのに何故か嬉しそうに松田は言って。
ヒロもそれに続く。





「そりゃーあんだけおっきな声で
 海だーって叫んでたからな。」




もう叫ぶなよ?


と苦笑い。




二人に言われてもなお不服そうなAだったが、練習メニューを見て
顔を歪ませたところをみると、
遊びではないことを理解したのであろう。






ワンセットが終わった時点で
10分の休憩が入った。





「降谷君。私、死ぬかも…」



そう声をかけられて
声の方を向けば今にも倒れそうなA。




「さっきの元気はどこいった。」



まだあと5セットもあるんだぞという
思いを込めていう。



「降谷君の体内に取り込まれていった。」


「そうか。それはよかった。」



男でさえクタクタのメニューに
ついてきているだけでもすごい。


なんて思ってもそのまま
素直に言えるわけもなく。





誤魔化すように水を口に含む。




Aの視線に気づいて
そちらに目を向ければ。




「水ちょーだい。」




って一言。
間接キスだとか、気にする歳でもないし、
今は練習のしんどさで気にする余裕もない。





「ん。」







そのまま水を手渡せば
Aはゴクゴク勢い良く飲む。







…あーこういうところだ。




飾らなくて、ちょっとがさつで
ほとんど化粧もしない。




こういう自然体が男にも女にも
好印象を与えるのだ。






ありがとうって言って
返してくれた水をもう一口飲んで



練習再開の笛の合図に
重い腰をあげた。

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ゅゅ - めちゃくちゃ好きです……この小説で警察学校組に興味を持ったのでほんとに感謝です、!!更新待ってます! (2021年5月22日 10時) (レス) id: cd6ed5edd7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2019年8月18日 11時

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