164.もうひとつあります ページ40
A side
もうひとつ,と言うと,静馬先輩は不思議そうに聞き返した。
静馬「まだあるんですか?」
何も言わずに頷く。
そう,もうひとつ,用意してきたものがある。
いや,正確にはものじゃないんだけど。
どうしよう,やっぱり恥ずかしい。
静馬先輩は黙ってじっと見つめてくる。問いただすこともせずに待ってくれているんだろう。
・・・よし。
私はひとり自分の中で決意を固めて,静馬先輩に近づいた。
静馬「あ」
つけているマスクをはずす。
風邪がうつるという静馬先輩に大丈夫だと言って,さらに顔を寄せた。
近い。いや,私が近づいたんだけども。
どうしよう,心臓が爆発しそうだ。顔が熱い。
静馬先輩は,私がしようとしていることに気が付いたのか,そっと目を閉じた。
私も,ぎゅっと目を瞑って。
静馬先輩の唇に,自分のそれを重ねた。
ほんの一瞬,ちょっと触れるだけのキス。
仕方ない,私にはこれが精一杯なのだ。
離れると,マスクをさっと取り上げられた。
おかげで,静馬先輩の表情はまた分かりにくくなる。
ただ,私はもう彼を直視する気力が残ってなくて,少し下に視線を下ろした。
静馬「あなたからしていただけるなんて,思っていませんでした」
A「・・・やめてください」
わざわざそんなこと言わなくても。
すでに恥ずかしさは限界に達していたが,とうとう耐えられなくなった私はその場に伏せてしまった。
頭上からはクスクスと笑う声。
ああ,やっぱり静馬先輩は余裕だ。
静馬「今までで一番嬉しい誕生日プレゼントかもしれません。ありがとう」
頭を撫でられた。
でもそのまましばらく伏せたままだったから,静馬先輩の頬が今までで一番赤かったかもしれないなんて私は気が付かなかった。
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姫奈(プロフ) - maeさん» そうなんですよね。改めて見ると結構長いというか。そろそろ,などと言ってはいますが時間的には結構かかると思いますよ。なにしろ更新スピードが遅いので(笑)ありがとうございます,はい,最後まで頑張らせていただきますっ! (2017年10月9日 22時) (レス) id: b0044d997f (このIDを非表示/違反報告)
mae(プロフ) - そろそろ完結ですか、早いような短いような(-.-)でも154話も更新されてると考えると結構長かったなぁと思いました!最後まで楽しみにしてます!!ラストがんば! (2017年10月9日 21時) (レス) id: 4282557f6f (このIDを非表示/違反報告)
蒼 - 姫奈さん» よかったー(-_-;)全然書かないとこうなるね… (2017年8月29日 18時) (レス) id: e1cdf2e7b6 (このIDを非表示/違反報告)
姫奈(プロフ) - 蒼さん» おひさー!!あってるあってる,僕でいーんだよ。 (2017年8月23日 15時) (レス) id: a6f43b73fe (このIDを非表示/違反報告)
姫奈(プロフ) - maeさん» あ,ありがとうございますっ!!いえいえそんな・・・上手いだなんて・・・(n*´ω`*n)お褒めいただき光栄です。 (2017年8月23日 15時) (レス) id: a6f43b73fe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:姫奈 | 作成日時:2016年11月1日 17時