寄り添うことの大切さ ページ26
Aside
新や松尾がここへ来た理由は知っていたが改めて聞くとやっぱりいいものではない。
新「どうしたらいいのかな」
『松尾ってさ、悠毅や和田ちゃんみたいにとにかく元気で前向きって感じでしょ。弱音も吐かない、涙も見せない。その代わり内に秘めてる悲しみや辛さは誰よりも持ってると思う』
実際に悠毅がそうだった。
溜めるだけ溜めて壊れるまではいかないものの日常生活に支障をきたすほどではあった。
『でもそれに気付けるのっていつもそばにいるからじゃないかな』
新「そばにいる…」
『あくまで私の考えだけどね』
新「俺に出来ることってあるかな」
『・・・寄り添ってあげればいいんじゃないかな。私がもし誰にも相談できない悩みがあったら誰かに聞いてもらうよりもその人が近くにいてくれた方が気持ちが楽になるもん。そうすれば自然と話したくなるんじゃないかな』
新「そっか…ありがとう!やってみるよ」
『でも新が無理しちゃだめだからね』
新「大丈夫。Aちゃんもね」
『わかってるよ』
私たちは来た道を辿り館へと戻った。
あの館にいる人全員がそれぞれに悲しく苦しい過去を持っている。
みんな持っている過去の大きさは違えど、傷ついた心を癒すことは誰にでも出来ることではない。
自分が信頼している、心を許せる仲間が必要
そのためにあの館がある。
私がそこに居続ける理由の一つなのだ。
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作者名:椋和 | 作成日時:2022年11月6日 19時