お散歩 ページ13
新side
Aちゃんと気晴らしの散歩に来た俺は特に何も話をすることなくただ隣を歩く。
『何か言いたいことがあるんじゃないの?』
新「え…?」
『新って基本にみんなの前では興味があるのかないのかわからない感じで話聞いてるけど、実は一番
考えてることあるよね』
新「それは…」
『だから、誰よりも正確かつ具体的な情報を入手することができる』
珍しくAちゃんが人を褒めている。
いつもはクールに冷静に人を見ている。
相手の捉え方によっては冷たい人に見えるかもしれない。
でも、その中に母親のような温かみが俺には感じられた。
『新も基や蓮音と同じで人に相談するのが苦手。そのせいで溜めにためた分の重みが一気に押し寄せてくる。そして壊れる』
きっと昔のことを言っているんだ。
基くんが初めて俺たちと会った時のこと。
蓮音くんがずっと抱え込んでいた自分の過去
今でも鮮明に覚えている。
『ほら、新も言いたいこと言っちゃいな。今は私しか聞いてないよ』
新「・・・心配なんだ」
『何を?』
新「松尾くんの事・・・」
『何かあったの…?』
新「前まではなんでも話してくれたんだ。世間話も悩み事も」
『そうなんだ…』
今日だけ。
今日だけはAを独り占めできる。
今だけは甘えてみようかな…
新「俺に松尾くんは救えないのかな…」
『新・・・』
新「俺も昔の松尾くんみたいに誰かを救いたい」
『話してくれるかな。2人の出会い』
俺は自分と松尾くんとの出会いについてAに話すことにした・・・
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作者名:椋和 | 作成日時:2022年11月6日 19時