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6話 本心 ページ6

side:hacchi

「何頼む?」

「俺じゃあこれ……サイコロステーキで」

「あ、ちょうど俺ここのドリンクバーの券持ってるから使お」

俺の提案が快諾されたことによってファミレスへと場所を移した。みんなメニューを見ては何を食べようかと悩んでいる。

「はっちはどうする?」

俺の右隣に座ったすぎるさんが訊ねてきた。目の前に広げられたメニューには、パスタやサラダなどがずらりと並んでいる。
ぱっと目に付いたものが明太子のパスタだったので、それを注文することにした。

「じゃあ俺これで……」

「おお、明太子な」

「すぎるさんは?」

「せやなぁ……どうしよ」

俺もしゅーさんみたいにステーキにしよかなぁ、とぼやいていたすぎるさんだが、結局ステーキではなくミートドリアを頼むことにしたらしい。
全員食べたいものが決まったようなので一番近くにいたしゅーさんにボタンを押してもらい、店員さんを呼んだ。

「はい、ご注文お伺いいたします」

「あ、すいません。えっと──」

蘭たんがみんなの食べたいものをひとつずつ注文していく。
こういう時、率先して動くのは彼だ。なんだかんだでリーダーシップがあるんだよな、蘭たんは。

「明日から普通に授業だし、部活も始まるよねー……」

注文を終えて店員さんが去った後、Aがぽつりと呟く。
新しいクラスの余韻に浸れるのも今日までで、明日からはいつも通りということだろう。

明日からは六時間みっちり授業で詰め込まれているのかと考えると確かに気は滅入るけれど、去年とは違ってこの四人と同じクラスだと考えたら、気の重さも少しだけ和らぐような気がする。

「まあでも、今年はみんな一緒だし……俺はそんなに嫌じゃないけどね」

と、本心を素直に零してみると少しの静寂のあとにバシン、と肩を叩かれて。

「そうよなぁ、今年はみんないるもんな。そう考えたら俺もそんな嫌じゃないかも!」

いいこと言うやんはっち!と俺と肩を組もうとするすぎるさん。
小っ恥ずかしいことを言った俺をからかっているのか、本心なのか──まあ彼のことだから後者だろうけど。

そう思っていたのはどうやら彼だけではないらしく、蘭たんもしゅーさんも頷いていたし、さっきまで嫌そうに言っていたAもどこか嬉しそうだった。

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作者名:甲乙 | 作者ホームページ:  
作成日時:2019年10月2日 11時

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