3話 杞憂 ページ3
side:sugiru
がやがやと騒がしい教室。
去年とは窓の外から見える景色が違っていて、大半を全く知らない子が占めているこの場所。
そう、新しいクラス──二年三組の教室だ。
実を言うとクラス替えはかなり不安で、新しいクラスでやっていけるのかなと思うと昨日はちょっと寝付くのに苦労したぐらいである。
でもそんな不安は杞憂に終わって、表にはあんまり出してないけれどめちゃくちゃ安堵している自分がいた。
「いやあ、同じクラスになれてよかったですね」
「うん。ほんと……多分俺今年の運全部使ったんじゃないかな」
「ええ、そこまで言います？……でも確かに奇跡みたいな確率ですよね、こんなこと滅多にないですよ」
俺の心境なんかきっと露知らずな二人──はっちとしゅーさん。
俺を挟んで何やら楽しそうに会話しているこの二人とは中学からの付き合いで、同じ高校に進学した仲だ。
そう。この二人と、今年は同じクラスなのである。
しかしそれだけじゃない。はっちとしゅーさんと同じクラスというだけでもすごいのに、更にあともう二人いる。
「……あ」
不意にはっちが声を上げて、視線を教室の後ろのドアへ向けた。
俺もしゅーさんもその先を追いかける。そこには、
「……あ、すぎるたちもう来てたの？」
「すぎるくん、はっちくん、しゅーさん！おはよう！」
俺たちに気付いてこちらへ駆け寄ってくる、蘭たんとAちゃん。
さっき言った“あともう二人”、というのはまさしくこの二人のことだ。
「おはよう、蘭たんにA」
「おはようございます」
口々に挨拶を返すはっちとしゅーさん。
それに嬉しそうに笑ったAちゃんと、眠そうな蘭たん。
今年は賑やかな楽しい一年になりそうやな、と思ったところで。
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