kz 短編集

story８　お出かけ ページ26

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秀明から帰ってきた後、テレビで流れていた映画の予告。




………見たい。









ご飯を食べている時も、お風呂に入っている時も、その予告が頭から離れなくて
どうしようか、と考える。




でも、1人で見に行くのもアレだしなぁ…


あ、みんなを誘ってみようか。




そう思った瞬間、それが無理なことを思い出す。


みんなと一緒にいる所を見られたら、マズイに決まってる。

しかも映画館だなんて、人がいっぱいいるじゃない…









あれこれ考えていると、１つの結論にたどり着いた。




…よし、小塚君を誘おう。









翌日、秀明がはじまる前に小塚君に電話したんだ。



「はい。アーヤ？」

小塚君の部屋直通だから、すぐに繋がるんだ。


「小塚君、私だよ。来週の日曜日ってなんか用事あったりする？」

電話の向こうで紙をめくる音がする。

「ん、何にもないけど。どうしたの？」


良かったぁ…


「あのね、映画見に行かない？
どうしても見たいんだけど、小塚君しか一緒に行ける人いなくて。」

「何の映画？」


えーと、確か…


「空の向こうで っていう映画だよ。」

「それ、僕も見たかった映画だよ。見に行くか迷ってたんだ。」


ほんと？
同じこと思ってたんだね。



「じゃあ、10時のにする？午後より空いてると思うよ。」

小塚君に言われ、それにした。


「ん、そうする。」

「じゃあ一応予約しとくよ。9時くらいにアーヤの家に迎えに行くね。」


予約だけでなく家に迎えに来てくれるという、
小塚君の優しさに感謝してから電話を切った。




あーっ！楽しみ！







(続く)

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