kz 短編集

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「は？花粉症？」

理解できなかったのか聞き返す若武。


「お前、花粉症もわかんないのか？」

呆れた顔で若武を見る上杉君。

「なにおっ！？それくらいわかるに決まってんだろ。」



言い合いになるかと思いきや、皆笑っていたからか
若武が上杉君を小突くだけで終わったんだ。


ほっ。



「この近く、草や木多いもんね。今の季節だったらスギとヒノキだね。
二つとも飛散距離が長いんだ。両方持ってる人は重症化しやすいみたいだよ。」

小塚君が説明する。


両方持っている私は納得した。

だからあんなに辛かったんだね。





「おれ、ブタクサ持ってる。」

そういって手を挙げた翼。


ブタクサ？



「そうなんだ。あ、ブタクサ花粉はスギ、ヒノキに次いで多い花粉症だよ。
飛散時期は８〜１０月。
背が低めの草花で飛散距離は短めだから、避けることは出来るよ。」


へぇ。

いろんな種類があるんだね。


「スギは２〜４月、ヒノキは３〜５月。もう少しの辛抱だね。」


ん、頑張る。




「じゃあ、窓閉めるよ。」

そういって窓を閉めてくれる忍。

「ありがと。」







「いやぁ、ほんっとビビった。アーヤのこと、泣かせちまったと思ったよ。」

ちょっと拗ねて言った若武に、また笑いが起こる。







しばらく笑っていたあと、急に静かになった。



思わず忍を見て言う。

「今、天使が通ったね。」

「ん、思ったよ。」


上杉君が忍に言う。

「なんだ、天使が通ったって。」


私も最初思ったよ。



「話したり笑ったりしてて、急に途絶えて、ふっと沈黙が広がった時のことだよ。」

「へぇ、きれいだね。」

小塚君が言う。






それから、３０分くらい雑談をしていたんだ。

忍と上杉君は新しいアプリだったり、翼は若武をからかったり…



私と小塚君と話していた黒木君が、腕時計を見て言う。


「そういえば若武先生、今日はなんだったの。」


あ…

すっかり忘れてた。




若武も忘れていたというような顔をしたが、コホンと咳をして話し始める。

「諸君、今日集まったのは…」








「なんとなくだ！！」


若武は最高にかっこ悪いセリフを言った。

がっくりとする私たちをみた若武は慌てて言う。


「いや、最近会ってなかったし、諸君のことを考えて集めたんだ！」


それはまぁありがたいけど…




「ま、アーヤが泣いてるとこ見られたからいいんじゃない？」

翼の言葉に頷くみんな。









全然よくないし、しかも私、泣いてない！！

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