kz 短編集

story４ 恋 2 ページ12

「あ……」





学校からの下校中、
本屋に寄って好きな小説の新刊を見ていた。




だが、何か当選したのか知らないけど

どこかの店のベルの音が聞こえて驚いてしまいカバンを落としてしまった。





拾わなきゃ。

読んでいる本から目を離し 拾おうとすると＿




「……ん、お前のだろ」


目を上げると、目がとっても綺麗な男の子がいたんだ。



「あ、ありがとうございます！」

「…別に。」




目の端をほんのり赤くさせ、その人は帰って行った。




優しい人だな。

その日はまるでどこかのドラマのような出来事に胸のトクトクがおさまらなかった。



＊



「えーー！いいなー。ドラマじゃん、それ。付き合えば？」


昨日の出来事を友人に伝えると、大げさに反応した。




いや、それで昨日あんまり眠れなかったっていうのは言ってないけど…


カバン拾ってくれてドキドキしましたなんて言えるわけない…

そもそもまた会えるかも微妙だし。



「いいなー。私にも運命の相手現れないかなーっ！」

「だーかーらー、俺がなってあげるよー」


いきなり話に入ってきた男子に友人が言う。


「無理。アンタが彼氏とか死んだほうがマシ。」




ぎゃーぎゃー言っているいつもの光景を見ながら考える。





彼氏…か。
いやー、あんなカッコいい人が私の彼氏とか…
無理無理。



でも……。


「あ、そういえば！塾の体験くるんでしょ？秀明の。」


友人の問いかけによって私の妄想は終わる。


「うん。両親がそろそろ入れって。本当うるさいわー。」




＊

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