朝食 ページ9
コウが私を見つめる瞳は、左右の色が違った。
”オッドアイ”と言っただろうか。
猫の写真集で見たことがあった。
「‥‥コウ、その、私‥‥」
上手く言葉が続かずに戸惑っていると、不意に部屋の扉が開いた。
「おーい、コウ、まだか？飯が冷めっちまうぞ」
ユーマの声がして、顔が覗く。
「何やってんだ、お前ら。早くしろよ」
それだけ言うと、ユーマは戻っていった。
「え？」
あっさりとしたユーマの反応に逆に私が戸惑っているうちに、コウは私の上からどいていた。
「さあ行こうか、あんまり遅くなるとルキ君に怒られちゃう」
コウがこちらをを見て言った。
「え……う、ん」
「ほら、早く早く♪」
急なテンションの変わりようについて行けず、私は慌てて彼の後を追った。
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「ユーマ君、エビフライ食べすぎ」
「はッ、こういうのはな、早いもん勝ちなんだよ！」
「俺の、エビフライ‥‥‥」
賑やかな朝ご飯‥‥‥
私が思わず唖然としていると、横から深いため息が聞こえた。
「お前たち。もっと行儀よく食えないのか」
注意というよりも、もはや諦めたようなルキの言葉に、私は思わず笑みをこぼした。
「？……何が可笑しい」
ルキの言葉に、私は苦笑しながら答える。
「いや……賑やかだなって」
「‥‥ああ。いつも叱っているんだがな。一向に治る気がしない」
そんなことを言いながらも、ルキが三人を見つめる眼差しには深い信頼と愛情が籠っている。
「…‥‥‥」
(この人たちは、本当に”ヴァンパイア”なんだろうか。‥‥‥とてもそうは見えない))
思わずそう思わずにはいられない程、平和(？)な時間だった。
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