give and take ページ17
・
「おはよー」
「おはよー」
「コウ君おはようっ！」
「コウ君！おはよっ！」
「おはようコウ君！今日もかっこいい！！」
”コウ君””コウ君””コウ君””コウ君”
「もーやだ………」
コウに人気があるのはいいのだ。
登校した途端女子に囲まれて、ひとり立ち往生しているのも、まあ、いいのだ。
ただ、あの視線が。
”コウ君”そう呼ぶたび、なぜか私の方をチラッと見る。
まるで、「あなたはこの輪に入れないでしょう」というように。
「……別にいいんだけどさぁ」
はぁっと溜息をついて、私はルキに借りた本を広げ、授業が始まるのを待った。
「この方程式は××で△△なので……」
この領帝学院高校で授業を受けるに当たって、私は自分の学力が思っていたより低かったことを知った。
「…さっぱりわからん」
駄目だなぁー…きっと、記憶がなくなる前の私も、勉強できなかったに違いない。
そんな事をぼんやりと考えながら、私は何とか先生の声に集中する。
・
・
・
・
キーンコーンカーンコーン
チャイムと号令が終わった途端ガクッと息をついていると、コウに声を掛けられた。
「ねえねえAちゃんっ」
「？……どうしたの？」
・
・
・
・
「さっきの授業、ノート取ってた？」
「ぇ…うん。とったよ」
「じゃあさ……見せてもらっていいっ？」
勢いよく手を合わせてきたコウに一瞬驚いてから、私は頷いた。
「…勿論！」
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 36人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
