＊２ ページ11
「‥‥‥‥」
目の前には、おおよそ信じられない光景があった。
四人のヴァンパイアがリムジンに乗って、夜間学校に向かおうとしている。
「お前はコウとアズサと同じクラスだ」
何の前触れもなくルキが口を開いた。
「あ……うん。わかった」
慌てて頷く私に、ルキは学校での諸注意を浴びせかける。
「下校時は、終礼が終わり次第、速やかにリムジンまで来るように。
図書館などによりたい場合は、誰かに言伝を頼むか事前に知らせておけ。
又、学校での勉強についてだが、おかしな成績を取って見ろ、ただではすまさん。
それから‥‥‥」
まだまだ続きそうなルキの注意事項に少なからずびっくりして聞いていると‥‥
「だァーーもう！ルキ君、長い！そして多い！Aちゃん困ってるじゃん」
コウが耐え切れなくなったように叫んだ。
私を助けたというより、コウ自身が我慢できなくなった、という雰囲気だ。
「だが…転校したてでは、分からないことも多いかと‥‥」
ルキが眉をしかめてそう言うと
「言ってる内容に、一々耳が痛てぇんだよ！ 」
ユーマも我慢できなくなったように言う。
「うん……段々慣れれば、いいし、ね？」
アズサも小さな声でそう言う。
「……しかし…」
尚も言い募るルキに、コウが言い放った。
「はいはいはい、Aちゃんのことは、同じクラス、学年の俺たちがきちんと面倒みるからッ！」
他の兄弟にそれぞれ言われ、ルキはいかにもしぶしぶといった様子で黙り込んだ。
そのどこか微笑ましい光景に目を細めながら、私はこれから始まる學園生活に、不安と期待を持った。
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