三百六十五話 ページ3
「…い、お――」
眠い。
「おー…ろよ」
…ねむ、い。
「起きろよ!!」
「うるっせ、いってぇ!」
耳元で馬鹿でかい声で叫ばれ、Aはその人物をぶん殴ろうとしたが額を何かにぶつけて撃沈した。
「…」
「はははっ、さっきまで死にかけてたとは思えないくらい元気だな!」
「――は…」
ガバッと顔を上げ、思いのほか相手の顔が近かった事に驚き、Aの喉が変な音を上げる。
「ッひょぬ」
柔らかい銀髪を揺らして、彼は笑う。
「…師匠」
「また随分と暴れ回ったなァ」
彼がここに居るって事はここは現実世界じゃないんだろう。
その証拠に、身体のどこも痛くない。
右耳も聞こえる。左目も見える。
「…え?」
「どうした?」
師匠がここにいる。死んでる師匠が。
「俺死んだ?」
「ちょっと嬉しそうに言うンじゃねぇ。まだ死んでねェよ」
・
つむぐはAの手を引いて彼女を立たせ、じっとAを見つめた。
「…」
「な、なんスか」
そして何を思ったのか、スパァンとAの後頭部をふっ叩いた。
「どッ!?」
「なぁにが"誰かの大切な人が理不尽に奪われるのを今日で最後にする"だ!お前ふざっけんなよ!!」
「なっ、は、えぇ…!?」
「お前なァ!鈍感にも程があるだろ!」
何が悲しいのか、つむぐがボロボロと泣きだして、Aはふっ叩かれた怒りが急にしぼんでいくのを感じた。
つむぐが泣く事は何度もあったが、大体は「Aが冷たぁい…」とか「見ろよあの子猫…きっと親猫を探す長い旅の途中なンだぜ…」みたいな事だった。
若干ふざけていた。Aもそれに慣れていた。
だから余計に訳が分からない。何で泣いてんの。
「何で気付かないンだよ!」
「な、何に?」
涙をAにかかるほど撒き散らして、凄い気迫を伴ってこう言う。
「お前もその"大切な人"の一人なんだよ!」
・
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名梨(プロフ) - あばんぎゃるどもふねこさん» 温かい言葉をありがとうございます…!ちなみに私の名前は名無しが元になってるので大丈夫です。ありがとうございます…! (2020年5月8日 9時) (レス) id: ecab760345 (このIDを非表示/違反報告)
あばんぎゃるどもふねこ - 名梨さん» いえいえ、私自身の意見なので。何をどうするかは名梨さんが決めることです。個人的な意見に耳を傾けて下さり有難うございます。ついでに言うと名梨さんの漢字間違えてました!なにやってんだって感じですね。申し訳ありませんでした! (2020年5月5日 10時) (レス) id: 9c2226ad75 (このIDを非表示/違反報告)
名梨(プロフ) - あばんぎゃるどもふねこさん» せめて朔と日は良い感じで終わらせたいので、どうぞ温かい目で見てやってください。 (2020年5月3日 20時) (レス) id: ecab760345 (このIDを非表示/違反報告)
名梨(プロフ) - あばんぎゃるどもふねこさん» コメントありがとうございます。申し訳ありません。私自身としては残しておきたかったんですが、色々あった末に消す事になりました。作品を好いてくださりありがとうございます。そして申し訳ありませんでした。 (2020年5月3日 20時) (レス) id: ecab760345 (このIDを非表示/違反報告)
あばんぎゃるどもふねこ - いやっふうう!!やあっと終わりましたね!無限城編!…で、重要なのはこの後ワニ先生がどういう流れにするのか、ですよね。まあ、予想だと続編は出ないと思いますが。新しくお話を作成されるのは喜ばしい事です。私ら一同楽しみにしておきます。 (2020年5月1日 19時) (レス) id: 9c2226ad75 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:名梨 | 作成日時:2020年3月8日 18時