検索窓
今日:5 hit、昨日:1 hit、合計:47,548 hit

三百六十五話 ページ3

「…い、お――」



眠い。



「おー…ろよ」



…ねむ、い。



「起きろよ!!」


「うるっせ、いってぇ!」



耳元で馬鹿でかい声で叫ばれ、Aはその人物をぶん殴ろうとしたが額を何かにぶつけて撃沈した。



「…」


「はははっ、さっきまで死にかけてたとは思えないくらい元気だな!」


「――は…」



ガバッと顔を上げ、思いのほか相手の顔が近かった事に驚き、Aの喉が変な音を上げる。



「ッひょぬ」



柔らかい銀髪を揺らして、彼は笑う。



「…師匠」


「また随分と暴れ回ったなァ」



彼がここに居るって事はここは現実世界じゃないんだろう。


その証拠に、身体のどこも痛くない。


右耳も聞こえる。左目も見える。



「…え?」


「どうした?」



師匠がここにいる。死んでる師匠が。



「俺死んだ?」


「ちょっと嬉しそうに言うンじゃねぇ。まだ死んでねェよ」









つむぐはAの手を引いて彼女を立たせ、じっとAを見つめた。



「…」


「な、なんスか」



そして何を思ったのか、スパァンとAの後頭部をふっ叩いた。



「どッ!?」


「なぁにが"誰かの大切な人が理不尽に奪われるのを今日で最後にする"だ!お前ふざっけんなよ!!」


「なっ、は、えぇ…!?」


「お前なァ!鈍感にも程があるだろ!」



何が悲しいのか、つむぐがボロボロと泣きだして、Aはふっ叩かれた怒りが急にしぼんでいくのを感じた。


つむぐが泣く事は何度もあったが、大体は「Aが冷たぁい…」とか「見ろよあの子猫…きっと親猫を探す長い旅の途中なンだぜ…」みたいな事だった。


若干ふざけていた。Aもそれに慣れていた。


だから余計に訳が分からない。何で泣いてんの。



「何で気付かないンだよ!」


「な、何に?」



涙をAにかかるほど撒き散らして、凄い気迫を伴ってこう言う。



「お前もその"大切な人"の一人なんだよ!」





三百六十六話→←設定



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (70 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
233人がお気に入り
設定タグ:鬼滅の刃 , 竈門炭治郎 , 原作沿い   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

名梨(プロフ) - あばんぎゃるどもふねこさん» 温かい言葉をありがとうございます…!ちなみに私の名前は名無しが元になってるので大丈夫です。ありがとうございます…! (2020年5月8日 9時) (レス) id: ecab760345 (このIDを非表示/違反報告)
あばんぎゃるどもふねこ - 名梨さん» いえいえ、私自身の意見なので。何をどうするかは名梨さんが決めることです。個人的な意見に耳を傾けて下さり有難うございます。ついでに言うと名梨さんの漢字間違えてました!なにやってんだって感じですね。申し訳ありませんでした! (2020年5月5日 10時) (レス) id: 9c2226ad75 (このIDを非表示/違反報告)
名梨(プロフ) - あばんぎゃるどもふねこさん» せめて朔と日は良い感じで終わらせたいので、どうぞ温かい目で見てやってください。 (2020年5月3日 20時) (レス) id: ecab760345 (このIDを非表示/違反報告)
名梨(プロフ) - あばんぎゃるどもふねこさん» コメントありがとうございます。申し訳ありません。私自身としては残しておきたかったんですが、色々あった末に消す事になりました。作品を好いてくださりありがとうございます。そして申し訳ありませんでした。 (2020年5月3日 20時) (レス) id: ecab760345 (このIDを非表示/違反報告)
あばんぎゃるどもふねこ - いやっふうう!!やあっと終わりましたね!無限城編!…で、重要なのはこの後ワニ先生がどういう流れにするのか、ですよね。まあ、予想だと続編は出ないと思いますが。新しくお話を作成されるのは喜ばしい事です。私ら一同楽しみにしておきます。 (2020年5月1日 19時) (レス) id: 9c2226ad75 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:名梨 | 作成日時:2020年3月8日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。