三百八十二話 ページ20
朝日が差し込み、街の惨状が明らかに見える。
炭治郎に押さえつけられたままの無惨は、目玉が零れ落ちるほどに見開いた。
そして次の瞬間、あの忌々しい衝撃波が波紋状に繰り出される。
最後の足掻きだと本能的に理解した。
「ッ!!」
腕を縫い止めていた不死川が、炭治郎を庇っていた伊黒が、その身を呈して触手を封じるAが。
三人共々飛ばされる。
無惨の元に残るは現状、炭治郎だけとなった。
「いぅ…!」
腹部から何の合図も無く触手が引き抜け、Aはそのままでんぐり返しをするように後方へ転がる。
血を振りまきながら壁へ衝突。
「あ゛…ッぐ」
その際に左半身を壁に強く打ち付け、左耳の鼓膜が破れた。
全身を刺すような痛みを堪えながら、小さく丸まって蹲る。
(ちょっと待て待ってくれちょっと)
何も聞こえないというのは、ここまで恐ろしいものなのか。
外界の情報を取り入れる感覚器官が、目しか無くなってしまった。
しかもその目も見えるのは右目だけ。色は無い。
頭の中で、耳を塞ぎたくなるような鋭い耳鳴りが響く。
Aは険しい顔のまま己の腹に目をやった。
(…ちょっと死に急ぎ過ぎたか)
絶え間なく血を流す腹から視線をを剥がし、今度は足に意識を注ぐ。
立ち上がろうと踏ん張るものの、腹からの大量出血のせいかすぐ体勢が崩れ、Aは座り込んだ。
「ハァッ…ッ、ハァ…!」
荒い呼吸を繰り返すうちに、次第に視界が暗く淀み始める。
あぁ駄目だ、意識が遠のく。
何とか抵抗しようと頭を振るが、それも虚しく無意味に終わった。
「ッ…く、そ…」
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名梨(プロフ) - あばんぎゃるどもふねこさん» 温かい言葉をありがとうございます…!ちなみに私の名前は名無しが元になってるので大丈夫です。ありがとうございます…! (2020年5月8日 9時) (レス) id: ecab760345 (このIDを非表示/違反報告)
あばんぎゃるどもふねこ - 名梨さん» いえいえ、私自身の意見なので。何をどうするかは名梨さんが決めることです。個人的な意見に耳を傾けて下さり有難うございます。ついでに言うと名梨さんの漢字間違えてました!なにやってんだって感じですね。申し訳ありませんでした! (2020年5月5日 10時) (レス) id: 9c2226ad75 (このIDを非表示/違反報告)
名梨(プロフ) - あばんぎゃるどもふねこさん» せめて朔と日は良い感じで終わらせたいので、どうぞ温かい目で見てやってください。 (2020年5月3日 20時) (レス) id: ecab760345 (このIDを非表示/違反報告)
名梨(プロフ) - あばんぎゃるどもふねこさん» コメントありがとうございます。申し訳ありません。私自身としては残しておきたかったんですが、色々あった末に消す事になりました。作品を好いてくださりありがとうございます。そして申し訳ありませんでした。 (2020年5月3日 20時) (レス) id: ecab760345 (このIDを非表示/違反報告)
あばんぎゃるどもふねこ - いやっふうう!!やあっと終わりましたね!無限城編!…で、重要なのはこの後ワニ先生がどういう流れにするのか、ですよね。まあ、予想だと続編は出ないと思いますが。新しくお話を作成されるのは喜ばしい事です。私ら一同楽しみにしておきます。 (2020年5月1日 19時) (レス) id: 9c2226ad75 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:名梨 | 作成日時:2020年3月8日 18時