朔と日 第七幕【鬼滅の刃】【竈門炭治郎】

三百七十九話 ページ17

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『日の呼吸 日暈の龍・頭舞い』



伊之助とAが離脱しても尚、炭治郎と善逸は攻撃の手を止めなかった。


そして今炭治郎は、善逸の援護もあって、無惨を壁際に追い詰めようとしている。



『烈日紅鏡』



もはや完全に劣勢の無惨。


彼と壁際との距離がどんどん狭まっていく。



残った力すべてを刃に乗せ、最後の一撃。



『陽華突！！！』



執念が無惨に刃を向けた。


少し前に無惨の状態に出現した口に刺さった刀身を、更に深く押し込んで貫通させる。


そしてそのまま、背後の壁に縫い付けた。



(もうこれ以上俺は技を出せない。一秒でも長くここに無惨を縫い止める！！)



この状態で夜明けまでいれば、全てが終わる。


鬼舞辻無惨を殺せる。



「っ！」



悪足掻きする無惨の腕と触手が、炭治郎に迫る。


それでも彼が柄から手を放す事は無かった。


たとえ八つ裂きにされても、何があっても放す気は無い。



だがしかし、一向に炭治郎は貫かれなかった。



そこで無惨は初めて気が付く。



「―――もういい加減にしてよぉ！！！」



応急処置を施された甘露寺が、彼の左腕を抱え込んでいたのだ。


ぼろぼろと大粒の涙を流しながら、ありったけの怒りを叫び出す。



「馬鹿ァ！！！！」



そして彼女はそのまま腕を引きちぎった。


報復とでも言うように、即座に彼女の姿を旋毛風が覆う。



「甘露寺さん！！！」



再び炭治郎を仕留めようと右腕やら触手やらを動かそうとするが、何故か動かなかった。



十本全ての触手が細い鉄線でまとめられ、動きが封じられている。


残りの右腕も、細切れにされた。



「！？」



腕を刻んだのは、額から大量の血を流す不死川。


すぐ再生した右腕を壁に縫い止める。



「不死川さん…」



ならば触手を押さえているのは誰だ。


冨岡か、悲鳴嶼か。はたまた。








「―――Aッ！！」



決死の表情で、自分と同じ色の瞳を鋭く睨む、Aであった。

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