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四百七話 ページ7






炭治郎には話し始める直前にAが浮かべた淡い笑顔の意味が理解できなかった。



「貧民街出身の奴が主人公。名前は俺も知らない」



しかし話が始まればその笑みも消え、彼女は涼しい表情で月を眺める。



「当然ソイツには家族も友達もいなくて、でも一人だけ家族がいた」


「え?」



Aの言葉が矛盾していて、炭治郎は首を傾げた。家族のように親しかったという事だろうか。



「いや、家族だよ」



はっきりとした口調だった。



「主人公の事となると馬鹿になって、アホで、涙もろくて、まぁ要するにヘタレだ」


「そ、そうなのか…」


「でもそれ以上に優しい家族だった。らしい」



遠い記憶を見つめるような瞳で月を眺め、彼女は笑う。



「その人は優しい"ヒト"だったけど、殺し屋だった」



月に翳りが差す。まるでそういう演出みたいに。



「その仕事をするしか選択肢は無くて、でも優しいその人は殺す度に心を痛めてる」


「…」


「だから主人公はその苦しみを分かち合いたくて、その人と時間を共にしたくて、自分も人殺しになる事を選んだ」


「…」



時折相槌を打っていた炭治郎が口を閉ざしたのが見え、Aは明るい声を上げる。



「この話びっくりするくらい長編だから大分はしょるぞ?」


「…あ、ああ」


「――…で、色々あって主人公はそのたった一人の家族を殺すんだ」


「えっ」



それはいくら何でもはしょり過ぎだろう、と言い掛けた炭治郎の目が、もう笑っていない彼女を映した。



「自分が死ねばよかった。この世界に必要なのは自分じゃない。何で自分なんだ。どうして殺した。どうして助けてくれと乞わなかった。そうやって自分を責めて、責めて責めて責めて」



自分を助けてくれようとした尊い人達をも、手に掛けようとした。


そうして自分から自滅の道を歩んで行って、でも必ず誰かが邪魔をしてきて、とうとう自分の存在意義が分からなくなってきた時に、一人の少年と出会う。



怖いくらいに自分の殺した男に似た、優しい少年と。




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設定タグ:鬼滅の刃 , 竈門炭治郎   
作品ジャンル:アニメ
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RYP!(プロフ) - 懐かしい作品に戻ってきてしまった…!!3年ぶりです、名梨さん。この下にいる暴れまくってる猫の奴はかつての私なのですが、今見ると物凄く恥ずかしいですね。またこの作品を見る日が来るとは思っていませんでした。またどこかで会えたら、嬉しいです。 (12月13日 23時) (レス) id: 4d2d529cd2 (このIDを非表示/違反報告)
ぎゆみかん - 泣いた。ヤバかった。 炭治郎達結ばれた!\(//>∀<//)/ヤッフー すごく楽し(?)かったです! (2020年9月12日 18時) (レス) id: 8ebef6a95a (このIDを非表示/違反報告)
あばんぎゃるどもふねこ - ぎぃやああああああああああ!!!!!!!温泉編きた温泉編きた温泉編きた温泉編きたあああああああああああああ!!!!…コホン、今とても飛び跳ねたい気分ですw (2020年5月19日 18時) (レス) id: 9c2226ad75 (このIDを非表示/違反報告)
ナリア(プロフ) - つむぐさんが出てくるとは思いませんでした!驚きました!炭治郎との2人の話をもうちょっと見たいなぁって思います! (2020年5月18日 20時) (レス) id: 7339556e29 (このIDを非表示/違反報告)
あばんぎゃるどもふねこ - 名梨さん» リクエスト使って頂きありがとうございます!寧塑寺さんの言ってることがなんだかつむぐさんに対する思いみたいで何だかとても嬉しい気持ちになりました!ありがとうございます! (2020年5月18日 17時) (レス) id: 9c2226ad75 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:名梨 | 作成日時:2020年5月11日 10時

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