朔と日第二幕【鬼滅の刃】【竈門炭治郎】 (ページ8)

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四十八話ページ8

「切符を……拝見…致します…」

「？何ですか？」

「車掌さんが切符を確認して切り込みを入れてくれるんだ！！！」

パチンッ

「ッ…！」

閃光が、弾けた。

・

・

「あの…私達は…」

車両内に、A達のものではない高い声が響いた。

通路に五人の少年少女達がいる。

皆が皆、暗い表情を浮かべていた。

「もう少ししたら眠りが深くなる。それまでここで待ってて。近付いて"縄を繋ぐ時"、決して体に触らないよう気を付ける事」

そして彼らの見る先には、手がいた。

手の甲に口がある気味の悪い手が。

それが当たり前のように喋っているのである。

「俺は暫く先頭車両から動けない。準備が整うまで頑張ってね。幸せな夢を見るために」

「はい…」

手が、無い目を座席に向けた。

「すぅ…すぅ…」

「…」

「ぐうぅぅ…」

炎柱が、炭治郎が、善逸が、伊之助が、そしてAが。

他の乗客と同じように寝息を立てていた。

血鬼術に掛かっているのだ。

傍から見ても分からないが、彼らは危機的状況に追い込まれているのである。

どれほどの力を持とうとも、人間の原動力となる「心」を失ってしまえばただの廃人となる。

「人間の心なんて皆同じ、硝子細工みたいに脆くて弱いんだから」

先頭車両の上で、十二鬼月、下弦の壱である魘夢は独り嗤う。

掲げた両手が、滑らかに宙を滑った。