四十七話 ページ7
「俺がこいつより速いって事を証明してやるぜッ!!」
「だからやめろって馬鹿!!どう考えてもこの列車の方が速いから!考えるまでも無いから!」
「何だと!?俺の方が遅いって言うのか!?」
「だからそう言ってるだろうがっ!!」
「危険だぞ!いつ鬼が出てくるか分からないんだ!」
「………え…?」
炎柱の発言に対しての善逸の反応。
まるで最初から何も知らなかったような……。
「おい、おい炭治郎」
「何だ?」
「お前ちゃんと詳しくあいつに話したのか?任務の事」
「話したぞ?「鬼が出没したらしいから、無限列車って言う汽車に乗る」って」
「…」
言葉が足りないぞ長男よ。
恐らく善逸は、鬼の出没地に無限列車で向かうと思っているのだろう。
だってもし知ってたら、
「嘘でしょ鬼出るんですかこの汽車!!」
「出る!!」
「出んのかい嫌ァーッ!!鬼の所に移動してるんじゃなくここに出るの嫌ァーッ!!!俺降りる!」
こんなに暴れ回らない。
そして、善逸の汚い高音には意外な効果がある。
「……短期間で大人数が失踪してるんだよ。何人か他の隊士を送ったらしいけど全員帰ってこなかった。だから柱の煉獄さんが来たんだよ」
「うむ!その通り!!ところで君達は何故来たのだ!?」
「お館様の命令っス…」
「はァーッなるほどね!!降りますッ!!」
彼の叫び声はAの胃痛を引き起こさせるのだ。
徐々に治まってきていたそれが再び襲来して来る。Aの笑顔はどんどん深くなる。
「今降りても夜だからうじゃうじゃいるんじゃねぇの?鬼」
「嫌ァ!!降りたいけど降りたくないいいっ!!助けてAッ!!」
締め付けられる胃に、善逸が突っ込んでくる。
おいふざけんなこの野郎。
「…」
「…A?」
「帰りたい」
切実に。
「え待って!?なんでそんな目で俺を見ながらそんな事言うの!?俺なんかした!?」
お前以外に誰がいるんだよ。
72人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:名梨 | 作成日時:2020年1月12日 18時