守りたいもの

第16話 ページ18

.




Aside





ハッと目が覚めた





確か、龍に抗議をしに行ってそれで……







そう考えていると声をかけられた





｢大丈夫か？｣






これらを心配そうに見ていたのは虎だった






｢さっきは手荒なまねして済まなかったな｣






狼の面を付けながら、その言葉に心の中で納得する






『やはり貴方でしたか』






あんなに綺麗に気絶させられるのは獣の中ではこの人しか居ない






｢龍、Aが目を覚ました｣




｢もうすぐ配信が始まる


人質の所へ行ってあの男を連れてきて


Aはこっちに来い｣






｢了解



行くぞ｣





『…えぇ』





龍の指示通り虎と一緒に配信場所まで向かう













｢なぁ杏って誰だ？｣





うなされてる時に何度も呟いていたぞ、と言う虎




貴方には関係ないと切り捨てて良かったものの、ついポロリと口から出てしまった







『私の…大切な人です』





｢……そうか｣





虎はそれ以上聞いてこなかった

















虎と別れたあと、顔を洗うためにトイレに入った







顔を洗い、私は鏡に映っている自分と向き合う





鏡には今にも泣きそうな自分の顔が映っていた




そんな自分の顔に、はっと息をもらしながら笑った





こんな顔をしている自分が情けない





喝を入れるように自分で自分の頬を叩いた













さっき虎から杏は無事に助かったと聞いた



それを聞き、心底安心した













が、それとこれとは話が別だ






杏をあんな目にあわせた龍に、いや獣たちに怒りが出てくる







もう一度鏡を見た時、私の顔は先程の情けない顔とはかけ離れた













鬼のような顔をしていた



















『絶対に許さない』
















.

第17話→←第15話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す