守りたいもの

第10話 ページ12

.







こんなことをする龍に腹がたち、もう一度受話器をとる








「てんめぇ...！！」






「その女を助けたかったら、鍵を取り出せ」








「鍵...？そんなのどこにある？」








辺りを見渡すけれど、それらしきものは見つからない










「お前の、体の中だ」









龍の言葉に絶句してしまう









俺の...体の中...？








「チップが鍵だ」










俺はチップがある場所を探していたが、ある物を見つけてしまった











それは、錆れた4本のメスだった










まさか、あれでチップを取り出せってことか.....？












「嘘だろ.......」


















その時、受話器から声が聞こえた







受話器を耳に当てると龍とは違う、さっきまで聞いていた声が聞こえた












『龍！どういうこと！？




私はこんなこと聞いていない！！』









狼の声だった






しかし今までとは違い、感情を剥き出しにし、口調も違った









「なんのことだ？」








『とぼけないで！！どうして______！！！』













狼が言った言葉は俺を混乱させるのに十分なものだった











この言葉の後、ガンッ！という殴る音と倒れる音が聞こえ、そこで電話は切れた



















狼が言っていた言葉が耳に残っている









狼は、こんなこと聞いていないと言っていた







どういうことだ...？



狼はこのことを知らされていなかった...？










それに狼は俺たちの敵なはず.....ならあの発言はおかしい.....















考え込んでいた俺は、本庄の苦しそうな声にハッと意識を戻された








そうだ、今は本庄を助けることが最優先だ










俺は和泉達に協力を仰ぐ為に無線を繋いだ

















.

第11話→←第9話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す