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249 吉野side ページ49

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『吉野、話って何?何で外なの?超寒いんだけど』

「すぐ終わるから」






だからって告白もしないで終わるなんて俺は嫌だ。こんなに長く片思いしたの初めてだし。









「俺さ、ずっと好きだった。安藤のこと」








寒い、と手に息を吹きかけてた肩がビクっと揺れる。そして動かなくなった。
顔を見ると、大きな目がさらに大きくなってて思わず笑った。驚いてる驚いてる。







『嘘でしょ?』





「ほんと。2年の時から」



『ごごごめんあたし、』



「大丈夫。本当は試合の後に告るつもりだったんだけどさ、それどころじゃなかったから」



『………』



「前から思ってたんだけど、お前ここ最近すごい明るくなった。それはタカノリさんのお陰なんでしょ?」



『うん、まあ…』





恥ずかしそうに下を向く安藤。
ああ、そっか。両思いなんだ。

安藤ってどういうやつが好きなのか想像出来なかったけど、ああいう人がタイプだったんだな。







「お幸せに」


『え?あたし剛典と付き合ってないよ』





え?





「そうなの?」


『うん。仲は良いけど…』


「うわ、そうなんだ」





でも、たかのりさんは少なくともお前のこと好きだよ。って言いたくなった。








『あのね吉野。あたし今付き合うとかそういうの本当に興味なくって…吉野のこと嫌いとかって訳じゃないよ』



「わかってる」



『あたし、恩返しをしたい人がいるの。その人に助けられて、今も沢山助けてもらってて…だから、その人に恩返しが出来るまで自分のことは後回しにしようって思ってる』









前まで安藤の世界は多分、


お母さんお義父さんお義姉さん、
そして俺と、香山だけだった。



けどその人のお陰で、安藤には新しい居場所が出来て世界が広がったんだと思う。


その新しい居場所に俺が入れないのは辛いけど
幸せそうになってくれてるならもういいや。









『だから、なんていうかその……ありがとう』


「こちらこそ」








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作者名:コウ | 作成日時:2018年10月2日 22時

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