248 吉野side ページ48
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引退試合が終わった。
勝てば決勝、負ければ最後の試合だった。
そして俺たちはボロ負けした。
試合の後に初めて応援に来てくれたあいつに告白をしようと思ってた。
なのにいざ負けたら、悔しくて涙が止まらなくて、結局告白どころじゃなかった。
でも最後の試合はやりきったし、あいつの弁当まで食べれたから悔いはない。
安藤は、例えると野良猫みたいなやつだった。
いつも1人で、小さくて、いつも顔色が悪いイメージ。
目立ってたからたまに俺らの中でも話題になってた。けど、だからと言って俺は話した事がなかったし興味もなかった。
それが2年になって、2回連続で席が前後になって、香山と3人でよく話すようになって。
あいつが面白いやつだって知った。
多分もう好きになってた。
初めの頃は気にして欲しくってわざと好きでもない奴と付き合ってみたりして、安藤の様子を伺ってたけど、全然効果なくて。
でも、香山からあいつの家庭のことを聞いてすぐに止めた。見守ろうって思った。
3年になって香山が父親の仕事で海外へ行って、クラスが離れて、まじで最悪だった。
安藤は俺ら以外友達がいなかったから、絶対学校来なくなる。下手したら辞めるかもとか思ってた。
けど安藤は学校に来ていた。相変わらず友達はいないけど、クラスの人と話さない訳ではないらしい。
そして、表情も明るくなった。
理由を聞いたら家のことが解決したとだけ言われて、めちゃくちゃ安心した。けど、
それから遊びの誘いも前以上に断られ、電話をかけても切られた。後日、本人から謝られたからわざとではなかったみたいだけど、なんか腑に落ちなかった。
そして先週の試合、安藤は男と来た。
『たかのり!』
すぐにこいつは安藤のこと好きなんだろうなと思った。安藤を見る目だけが優しかった。
そして、安藤が明るくなったのは、この人のお陰なんだろうなって思った。
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作者名:コウ | 作成日時:2018年10月2日 22時