235 高野弥生side ページ35
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「ごめんなさい。本当に悪いことをしたと思ってる」
立ち上がって深々と頭を下げた。
広臣は私の説明を何も言わずに聞いていた。
「なんとなく分かってた」
「え?」
「気付かない訳ないでしょ。敬浩さん1番仲良い先輩だし。一緒に住んでるのも知ってたよ」
「そう、だったの」
そりゃあそうか。広臣は前から鋭い奴だ。
「あと振られた理由も知ってた。あれ全部嘘だって直人さんから聞いてた。結構前に」
あのニヤニヤした笑顔が頭に浮かんだ。
あれ…でもなんで直人さんが知ってるのだろう。
話した覚えはない。もしかして、HIROさん?
「そりゃ振られた時は他に好きな奴できたんだと思ったし、直人さんからほんとの理由聞いても意味わかんなくてイライラしてた」
「うん」
「正直、何でほんとの理由言わなかったんだよって思ってたけど、俺もガキだったから。今なら分かる。それにこうやって言ってくれたからもういい」
「……こう言うのもあれだけど、ほんとに大人になったね。ごめんね。ちゃんと言わなくて」
私がまた頭を下げると、もういいってと笑った。
「まあお前と敬浩さんのその微妙な関係はどうかと思うけど…あの人が弱音言ってるとこ見たことないし、大事なのかもな」
分かってる。
このはっきりしない関係はダメだって。
そこもしっかりやり直さなきゃ。
「はーー俺もそろそろ新しい彼女作ろーっと」
「え?あんたにはアコがいるじゃない」
「は?」
「最初は女子高生って引いたけど、今はまあ…お似合いだと思ってる。あの子抱え込むタイプだからちゃんと気にしてあげてよ」
「待って、何か俺らが付き合ってるみたいに聞こえるんだけど」
「え、付き合ってるんじゃないの?」
「いやいやいや」
「あんた妹なんていないじゃない。年の差がありすぎるから周りに嘘ついてるんでしょ?」
「おい、ちょっと待て」
広臣の焦る顔が面白かった。
広臣の顔を見てそう思うのも久しぶりだと、少し懐かしくなった。
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作者名:コウ | 作成日時:2018年10月2日 22時