228 高野弥生side ページ29
.
そして、ついにマネージャー最後の日にご飯に誘われた。
もう毎日のようにどっか行きた〜い、旅行行きた〜い、海行きた〜いとかは私に言ってきてたけど、それはスケジュールを空けろと言われてると解釈して完全に無視してた。
しっかりと誘われたのはこれが初めてだった。
なので、最後だし…と思ってOKをした。
連れてこられたのは涼介の店だった。
正確にはその頃はまだ涼介のお兄さんの優一さんがやっていた店だった。
初めて2人で店に入ったので少し緊張したものの、奴は安定のおふざけ口調でしょうもないことばっかり言ってきた。
「この間さーーフジテレビでモデルとすれ違ったんだけどその子前に告ってきた子で。俺が振ったの根に持ってるみたいで超睨んできて。女の子ってこわいねー」
「そのうち絶対痛い目にあいますよ。女遊び早く止めろってこの間HIROさんにも言われてましたよね」
「えーーー無理ーーー」
「篤志さんも本命見つけて欲しいって言ってましたよ」
「じゃあ、高野さんが本命になってよ」
言われた途端、いつものからかいだと思って笑ってしまった。
けれど敬浩の顔を見て、思わず持っていたフォークを落としそうになった。
だって、初めてみるような顔をしてたから。
「正気?」
「嘘だよ。そんな顔しないで。あのさ、何で登坂を振ったのか教えてくれない?本当の理由。他に好きな人が出来た訳じゃないんでしょ?」
びっくりした。
いつもヘラヘラしてる人の真顔ってこんなに怖いんだと思った。
.
221人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:コウ | 作成日時:2018年10月2日 22時