221 高野弥生side ページ22
.
撮影は全て無事終了した。
HIROさんからアコが出るから現場についてあげてと言われた時は耳を疑ったけど、なんだかんだあの子もしっかりやってくれたと思う。
撮影後アコは蜷川さんにご飯に誘われ、酔ったスタッフさんに揉みくちゃにされていた。
さすがに高校生だからと2次会は断って車でマンションに送ってきた。
アコは相当疲れたようで、あたしの車の中で外を見ながらずっと「フフフフフ」と笑ってた。さすがにこの子やばいと思った。今度何か…疲れが取れそうな物でもプレゼントしよう。
「ただいま」
かく言う自分もマンションに着いた途端どっと疲れがやってきた。
あれ、返事がない。
千絵は2次会に連れてかれたけど涼介は帰ってきてるはず。というか電気はついてるし。
とりあえずまっすぐ部屋に行って荷物を置き、携帯を見ると涼介から連絡がきていた。
店に泊まり込みで仕込みする、か。
じゃあ敬浩はどこに…
その途端、後ろから突然抱き締められた。
「……何」
「何もしないから」
振り返ったらすぐに顔を包み込まれて唇が重なった。そして抱きしめられる。
「何もしないって言ったじゃない」
「キスくらいいいじゃん」
そう言うとまた唇を塞がれる。
あーお酒を飲んだ日に限ってこれ。
やめさせないと…敬浩の肩を叩こうとした途端、
『高野〜〜〜〜〜〜あ、』
「あ」
「あ」
さっき確かにマンションまで送り届けたはずのアコが、何故かあたしの部屋の入り口に立っていた。
そして
『ぎゃぁぁぁぁあああああすいません!すいません!すいません!すいません!すいません!生きててごめんない!』
そう叫んでバタバタ出て行った足音を聞きながら、あれあたし、ドアの鍵閉めるの忘れてたか…と呑気なことを考えてた。
.
221人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「芸能人」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:コウ | 作成日時:2018年10月2日 22時