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218 岩田剛典side ページ19

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楽屋のドアが思いっきり開いた。
あまりの音に全員一斉にドアの方を向く。





「臣ちゃぁん!アコ絶対嫁に出したらあかんで!あんな可愛い妹を簡単に手放したらあかん!」


息切れをした健二郎さんが入ってきて、興奮気味に臣さんの肩をガクガクと揺さぶった。




「ちょっと落ち着いて健ちゃん」

「万が一、アコが結婚する時は相手がちゃんとしたやつかしっかり見定めろ。もしあれやったら俺も呼んでええから…」

「うんわかった深呼吸して。あ、次行ってきながんちゃん」





そう言って手をヒラヒラさせる臣さんにイラッとした。他人事だと思って。




深呼吸をしながら廊下を歩いて奥のスタジオに向かう。









「岩田さん入りまーす!」

「よろしくお願いします」






入ってすぐに撮影用のベットに座って何か飲み物を飲んでいる後ろ姿が見えた。

後ろ姿でさえいつもと違うのにすぐにあいつだって分かった。







「岩田くん?どうしたの大丈夫?」


ハッとすると、自分はもう監督席まで来ていて目の前には蜷川さんがいた。






「あっ大丈夫です。すいません!本日はよろしくお願いします」

「こちらこそ。実はね、ちょっと時間が押してるからすぐ撮ってもいい?岩田くんいつも一発撮りだから…」

「えっ」




思わずアコの方を見ると、千絵さんにメイクを直してもらいながら高野さんと楽しそうに話している横顔が見えた。



やっぱ無理かも。






「心配なら大丈夫よ無理しなくても。やっぱり…」

「いえ、大丈夫です。よろしくお願いします」



でも、これは仕事だ。
こんなところで私情を挟んだりする訳にはいかない。


あれは女優さん。ただの新人女優の方。



蜷川さんの説明を聞き終わってから俺は彼女の前に立った。






『あっいわ…』

「岩田剛典です。本日はよろしくお願いします」






そう女優さんに挨拶をした。





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作者名:コウ | 作成日時:2018年10月2日 22時

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