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216 登坂広臣side ページ17

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「登坂さんのカット終了です!」


お疲れ様でしたーーーと声がかかる。

その途端、俺の髪を撫でてた手が首に回ってそのまま思いっきり体重をかけてきた。





『広臣の髪ワックスガンガンだから触り心地最悪』

「待って重い重い重い」




「その割にすごくいい表情してたわよ。顔も映したくなっちゃった」



カメラ側にいる蜷川さんがにこにこしながらこちらを見てる。





『今自分は女神だって思いながらやってるんで』

「意味わかんねーから」

『え?女神ってすごい優しい顔してない?モナリザとか?そう思ったら仕草も優しくなるかなーて思って』

「モナリザって女神なの?」

『えっ違うの?』




知らねえし。とりあえず俺の首に巻きつく腕は全然離れようとしないので、そのまま起き上がらせた。アコの顔をまじまじと見る。




「まじ雰囲気変わったね」

『えっ可愛い?可愛い?てか自分で言っちゃうけど超可愛くね?』

「いや自分で言うな」



周りのスタッフさんたちもキャーキャー言いながらアコのこと見てるから、そりゃ調子乗るか。
普段可愛いとか言われ慣れてる訳じゃないだろうから。



髪の毛は巻いてあるし、服もいつものアコなら絶対着ない雰囲気の服だし、何よりメイクがやばい。さすが千絵さんだわ。



ぶっちゃけアコじゃなければすぐ落としにかかったわ俺。

これさ、まだがんちゃんには言ってないんだけど大丈夫かなーーー。







「隆二どんな感じだった?」

『んーー普通だったよ。ずっと喋りながらやってた』





いやいや、真面目にやれ。

でもあの隆二が大丈夫だったなら大丈夫かな。







アコは相当疲れたようで俺の撮影用のソファに2人で座って、俺に全力で寄りかかってる。



「疲れた?」

『超疲れた』





直人さん入りまーすという声。

直人さんがこちらに歩いてきて、蜷川さんと挨拶をしてるのが見えた。
蜷川さんが指差し、こちらを見た直人さんの目が大きく開く。





『次直人さんか』

「あらもしかしてアコちゃん?あなた超可愛いじゃない!」

『なんか口調がおかしい!』

「あははは!すごい雰囲気違うね。花火歌ってもらおうと思ってたんだけど今だとちょっと夢壊れそうだからやめておくわ」

『なんで花火?』

「音痴って臣とがんちゃんが言ってたから」





アコが思いっきり俺を睨んだので、お疲れ様でーすと早足でスタジオから出た。







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作者名:コウ | 作成日時:2018年10月2日 22時

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