99 高野弥生side ページ50
.
それからまたしばらくして広臣は誰にも言わずにVBAを受けて合格を勝ち取ってくるわけだけど、私はそのことを広臣が働いていたお店の店長さんから聞いて知った。
「あいつ、一昨日くらいに辞めたよ。弥生ちゃん彼女なのに知らなかったの?」
野次馬な店長を苦笑いで流して、連絡をした。けど、一切通じない電話。
あいついっつも電話かけてくるくせにこっちからかけたら無視かよってムカついたけど、後から聞いたらその時最終審査の合宿だったらしい。
でも私は歌手になりたいなんて話、本当に1回も聞いてなかった。
三代目JSoulBrothersのボーカルとなった広臣は帰ってきて、「びっくりさせたかった」なんて言ってたけど話してくれなかったことが悔しかったし、悲しかった。
それから急激に忙しくなった広臣を私はただただ見てた。
大学院に行っても夢が見つからない私。
新しい夢を見つけて掴んでる広臣。
羨ましい。ずるい。
そんな風に思うようになった。
転機は広臣がHIROさんとご飯に行くからお前も来ない?と誘われた時だった。
初めて会ったHIROさんは、女の私もついて行きたくなる人だった。
数時間話しただけなのに気付いたら悩みを相談していた。
夢が見つからない。
HIROさんは、なら夢がある人たちをサポートしてみるのはどう?と笑って言って下さった。
「とりあえず面接の手配をしておくね。気が変わったら断ってくれて構わないから」
そして面接を受け、私はLDHに入社した。
さすがに知り合いだからというのもあって三代目とは一切関わりはない部署だった。
そして私がLDHに勤め初めて半年くらいの時、
「ねえ、そろそろ俺ら付き合わない?」
広臣の家で、確かコーヒーを作ろうとインスタントの袋を開けた時だったと思う。突然告白をされた。
「え」
「なんでそんな驚いてんの」
「だって、唐突すぎない?」
「だめ?」
「別にだめじゃないけど」
「今までタイミング掴めなかったし」
「…」
「好きだから。ちゃんと大事にする」
隣にきて、ちゃんと目を見て言ってくれた。
「弥生は俺のこと何とも思ってない?」
「好きじゃなかったら?」
「傷つくわ〜」
「嘘だよ」
知り合って4年、やっと彼氏と彼女になった。
.
284人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「登坂広臣」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:コウ | 作成日時:2018年2月21日 21時