97 高野弥生side ページ48
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その数日後、バイトの友達と遊んでた時。
その子は以前「私登坂くん狙うかも」と言っていた子で、私は見る目ないなと思いながらも「がんばってね!!」と応援していた子だった。
なのに、会ったとたんに友達はあっさり「私登坂くん諦めるわ」と言った。は?という感じである。
「私ね、登坂くんとこの間のお別れ会のあと連絡先交換したの」
「ああー言ってたもんね」
「めっちゃ快くオッケーしてくれたから、脈アリだと思うじゃん?そしたらなんてメールきたと思う?」
「何?」
友達は私の方をみてニヤリと一言。
「高野さんのメアドも教えて!ですってーーーー」
「はあ?」
眉を潜める。
「待って、もしかしてそれで」
「だって拒否する理由ないしぃ」
こ、こいつ、やりやがった。
「あんた登坂くんのこと好きなんじゃなかったの?」
「いいなって思ってただけだよ。弥生に譲るよーーーけっこうお似合いだし。もっと話してみ!ね?」
心の中は、は?という感じだった。こいつ何言ってんだと思った。
好きといいなって思うのは違うのか?意味わかんない。
そして友達と別れた後に案の定、メールがきていた。
『友達に聞きました。登坂広臣ですよろしく!』
返さないわけにもいかず、メールをし合ううちに好きなアーティストが同じだったり好きなブランドが同じだということがわかった。
いつの間にかバイト先でも話すことも増え、呼び方も「登坂くん」から「広臣くん」酔った時には「広臣」と呼ぶようになっていったし、向こうも私のことを「弥生」と呼ぶようになっていった。
そんな毎日を過ごして1年。
広臣が突然バイトをやめると言い出した。
理由を聞けば、専門学校がもうすぐ卒業で本格的に美容師になるからだそう。まあ当然のことだった。
でも、バイト辞めることを聞いた時、私は
「どうしよう」
と思った。
不安になった。この間まで話すのも一緒に仕事するのも嫌だった人がバイトを辞めることに、私が不安になってる。人の気持ちってこんなにも変わるものか、と思った。
でも彼には彼の道がある。別に引き止めたりもしなかった。バイト仲間と一緒にあたしは笑顔で送り出した。
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作者名:コウ | 作成日時:2018年2月21日 21時