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62 高野弥生side ページ13

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「高野さん、まだ残ってるんですか?」


同僚の言葉にふと我に返る。





「…あ、はい。あと少しでキリのいいところまで終わるので」

「なんかいつも先に上がっちゃってすいません」

「そんなこと気にしないでください」

「じゃあ…お疲れ様でした。今度飲みに行こうね、お先に」

「はい、お疲れ様でした」


見送ってから辺りを見回す。







また気づいたら最後の1人になってた。
そんなに集中してるつもりじゃないんだけど。

でもあと少しで山場は片付くし。


もう一度パソコンに向かったところで、携帯のバイブ音に気づいた。







「…」


お母さんかな。
仕送りきたよってちゃんとメールしたのに。


開くと、予想外の人




”羨ましいだろ、チョコ味だぜ”



広臣がポップコーンを食べてる画像。



え、どういうこと?まさか2人で行ってるの?
どれだけ危険なことしてるのあの2人は。


あの2人、本当に付き合ってるのかな。
でも私は結局あの子のことを全く知らない。
知ってるのは名前だけ。



前、熱があるのに仕事があるからと最後まで看病しないで帰ったことに少し罪悪感を感じて、また広臣のマンションに行った。広臣が仕事の時間に。



あの子はしれっと寝間着姿で出てきて、体調はどう?と聞いた私に向かって広臣ならいないよ、と言った。







何が羨ましいだろ、よ。








「…別に羨ましくなんかないわ」





そう呟いたものの、なんか虚しかった。


あの子、絶対まだ私が広臣のこと好きだと思ってる。もう吹っ切れたのに。もう忘れてるのに。








”気をつけて楽しんで下さい”


そう返事をしてまたパソコンに向かった。







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作者名:コウ | 作成日時:2018年2月21日 21時

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