月の雫

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「あー！藤原さんお疲れ〜〜」

『笹川さん！お疲れ様です！』




お手洗いでメイクを直していたら先輩の笹川さんと会った。

笹川さんは私の１つ上の先輩で前野さんと同期の方で、たまに前野さんと一緒に私たちに付いて仕事を教えてくれる。

外見は…この会社の中でもトップクラスなほど派手で、初めて会った時は怖くて目も合わせられなかったけど、話してみると意外と普通の人で今では話しやすい先輩だ。







「聞いたよ〜三代目のリハ同行になったんだってね。めっちゃ疲れるけど頑張ってね！」


『ええ、そんなに大変なんですか？』


「あははっごめん盛った！バイトとかも入るから1番下っ端って訳じゃないし、体力あればそこまで大変ではないと思うよ」


『た、体力…』



体力って…私に1番欠けているものだ…






「秋田か〜懐かしい〜あたしも去年行ったな〜〜」



そう呟きながら鏡に向かってメイクを直す笹川さん。
私も慌ててメイクポーチからリップを取り出した。





「え、藤原さんのそれメイクポーチ？デカくない？」

『あ、はい…でかすぎですよね』



自分のパンパンに詰められた大きなポーチを改めて見る…こんなに必要ないのは分かってるんだけど、ないと不安でいつも持ち歩いてしまう。




「いやすごいね、女子力って感じ。藤原さんってメイクとか超詳しそうだよね。なんかオススメのリップない？これもうすぐ無くなりそうで」


『私、前職で美容部員していたのでオススメって言われるとその働いてたブランドのものを勧めちゃうかもです…』



そう言って持っていた自分のリップのロゴの部分を笹川さんに見せた。



「えー知らなかった！確かに藤原さんデパ地下で働いてそう！へーえこのブランド知ってるわ〜今度買ってみるね」


『はい！ぜひ』


「じゃあこれから外でなきゃいけないからまた！お疲れ様！」


『お疲れ様です！』





やっぱり笹川さんは話しやすいなぁ。
なんというか、さっぱりしている人。

笹川さんはマネージメント本部だったよな…どのグループって言ってたっけ？だめだ、覚えてない…。


3ヶ月の研修が終わったら、自分の希望する部署を出さなきゃいけない。海斗くんはずっとライブに関する仕事をするステージ関係がいいって言ってるけど、私はまだ全然分からない。








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