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『はあーーーーーー』
ぼーっと空を眺めながらゼリーを食べていた。
場所はもちろん非常階段。
今日はとても暖かいので半袖1枚でも平気だ。
一つ目のゼリーを食べ終わって、二つ目を紙袋から出そうとしたら下にいた人と目が合った。
「どうしたの?」
『うわあ!!』
非常階段だからもちろん下の階と繋がっているわけで。でも今まで下に人がいたことなんてなかったのに、今日は登坂さんが下から顔を出して笑っていた。
「来るかなーって思って。待ち伏せしてた」
『びびびびっくりしました…』
「アコが驚かすと反応が面白いって言ってたから」
たしかに安藤さんにはゴキブリのおもちゃとか…そういう小さなことで驚かされることが多い気がする…安藤さんそう思ってたのか…
「昨日アコと話せた?」
『あ…はい』
「なんでそんな暗い顔なの?」
登坂さんがゆっくり階段を上がってきて私の横に座る。
『暗い顔ですかね…』
「うん。てか何食べてんの?ゼリー?」
ちょうど私と登坂さんの間にあったゼリーの紙袋を覗き込む登坂さん。反射的に紙袋を取り上げる。
『違うんですこれは!ただ趣味で作っただけで!』
「趣味料理なんだ。いーじゃん」
『違います!』
「え?違うの?」
そんな自然に、ナチュラルに褒められたことなんてないから思わず否定してしまった…
「あ、もしかして昨日アコに持ってったの?それの残り?」
登坂さん…勘が鋭すぎます…
「違う?」
『違わないですけど…』
「確かにゼリーなら軽いし食べれそう。喜んでたでしょ」
『いや…あの…』
「何?」
ちゃんとはっきり言って。と強く登坂さんに言われると、言うしかなくて…岩田さんと被ってしまったことを渋々話した。
「うわーほんと最悪だねあいつ。あとで怒っとくわ」
『そういう意味じゃなくて!違うんです!』
「あははっ嘘だよ。で、今それを消費してんだ」
『はい…』
まだめっちゃ余ってんじゃん。と紙袋の中を見て言う登坂さんに頷く。
実は分量を間違えて多めに作ってしまっていたのだ。けれど安藤さんに渡す勇気も持てず…捨てるのも勿体ないから結局自分で食べているけど、昨日の夜もこれを食べたし完全に飽きてきつい。
「意外としっかりしてそうに見えてそうでもない?」
『全然しっかりしてないですよ…』
登坂さんにも見抜かれて、なんだか恥ずかしくなった。
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冷奴(プロフ) - 月の雫2始まりましたね。もし宜しければパスワードを教えて貰えないでしょうか?続きが気に成ります(^-^) (2019年6月30日 15時) (レス) id: 421c109eeb (このIDを非表示/違反報告)
みさ - 家出少女から月の雫まで全部読みました。凄くほっこりして癒され続きが楽しみになりました。またお邪魔しにきます。 (2019年6月30日 10時) (レス) id: 7d7a9a838a (このIDを非表示/違反報告)
u-cyon(プロフ) - コウさん» 続きが楽しみです。素敵なお話と癒しの時間をありがとうございます! (2018年12月17日 20時) (レス) id: 87871eeb75 (このIDを非表示/違反報告)
コウ(プロフ) - u-cyonさん» u-cyon様 ご指摘ありがとうございます。先程確認と訂正を致しました。引き続きよろしくお願い致します^ ^ (2018年12月17日 11時) (レス) id: c03e7cb38c (このIDを非表示/違反報告)
u-cyon(プロフ) - ずっと読んでいます!どうなるんだろうとドキドキしております。36ページの安藤さんの台詞。彼女の台詞なのに、「安藤さん」と言っている箇所があります。たぶん「藤原さん」の間違いなのでは?と思いました。 (2018年12月17日 10時) (レス) id: 87871eeb75 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:コウ | 作成日時:2018年11月26日 20時