検索窓
今日:5 hit、昨日:0 hit、合計:65,476 hit

37 ページ37

.





『のど、乾いてないですか?私何か下の売店で買ってきますよ』


「いいよ。今食べたり飲んだりすると傷に染みるんだよね」


『あ…そうですよね』


「ありがとね」





何か、安藤さんの力になりたいけど、
何をしたらいいのか分からない。
自分の無能加減が嫌になる。






「藤原さんちょっと、窓開けてくれる?病室の匂いあんまり好きじゃなくて」


『はい』




立ち上がって窓際へ行き、窓を開ける。
新鮮な空気が一気に入ってきてカーテンが揺れた。






バタバタと足音が近づいてきて、扉が勢いよく開く。







入って来たのは、登坂さんだった。






「広臣」



「まじ…その怪我」





登坂さんはゆっくりとベッドに近づくと、
そのまま安藤さんを抱きしめた。





「広臣、痛い。痛いって」



「うるさい。何なのお前。何で何も言わないんだよ」




登坂さんの顔はこちらからは見えないけど、
安藤さんは…






「……っ」






私にも、おそらく高野さんにも見せなかった涙を登坂さんには見せていた。








私が静かに病室から出ると前野さんが外のベンチに腰掛けていた。




『前野さん』


「藤原さん。安藤どう?大丈夫そう?」


『は、い』


「そう。今登坂さんと会場からそのまま来たんだ」


『そうなんですね』




そうだ。今日は三代目さんはライブだった。
だから登坂さんは髪の毛セットしたままだったのか。





「じゃあ俺らは邪魔者だろうし、先に帰ろうか」


『安藤さんと会わなくていいんですか?』


「大丈夫なんでしょ?ならいい。また来るし」


『そうですか』






前野さんの後ろをついて、廊下を歩く。

忙しそうにバタバタと走る看護師さんたちとすれ違う。







「なんで登坂さんが来たとか…色々気になるとは思うけど、俺からは言えない。ごめん」



『はい。分かってます』









.

38→←36



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.5/10 (61 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
216人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

冷奴(プロフ) - 月の雫2始まりましたね。もし宜しければパスワードを教えて貰えないでしょうか?続きが気に成ります(^-^) (2019年6月30日 15時) (レス) id: 421c109eeb (このIDを非表示/違反報告)
みさ - 家出少女から月の雫まで全部読みました。凄くほっこりして癒され続きが楽しみになりました。またお邪魔しにきます。 (2019年6月30日 10時) (レス) id: 7d7a9a838a (このIDを非表示/違反報告)
u-cyon(プロフ) - コウさん» 続きが楽しみです。素敵なお話と癒しの時間をありがとうございます! (2018年12月17日 20時) (レス) id: 87871eeb75 (このIDを非表示/違反報告)
コウ(プロフ) - u-cyonさん» u-cyon様 ご指摘ありがとうございます。先程確認と訂正を致しました。引き続きよろしくお願い致します^ ^ (2018年12月17日 11時) (レス) id: c03e7cb38c (このIDを非表示/違反報告)
u-cyon(プロフ) - ずっと読んでいます!どうなるんだろうとドキドキしております。36ページの安藤さんの台詞。彼女の台詞なのに、「安藤さん」と言っている箇所があります。たぶん「藤原さん」の間違いなのでは?と思いました。 (2018年12月17日 10時) (レス) id: 87871eeb75 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:コウ | 作成日時:2018年11月26日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。