月の雫

２３ ページ23

.




「ごめんねほんとに帰らせる感じになっちゃって」


『大丈夫ですよ！気にしないでください』


「てか駅までの道ほんとに分かる？大丈夫？」


『商店街の中歩くだけですから。私ここら辺前に来たこともありますし』


「じゃあ…また会社で」


『はい。お邪魔しました！』





玄関まで見送ってくれた安藤さんに改めてお礼を言って、ドアを閉めた。


このマンション、鍵が普通の鍵とカードキーになってるらしい。先程来た時に安藤さんに見せてもらったけど、最新の技術に感動してしまった。


カードキーって最近はもう普通なのかな？

実家はオンボロの一戸建てだし、前に一人暮らししていた時もボロいアパートだったし、私からすると普通じゃないな…。





エレベーターがちょうど上がってきたので近付いたら、中に乗ってる人がいたので足を止めた。

扉が開き、乗っていた人が降りるのを待つ。


すれ違いざまに何かに気付いた。








今の人…登坂さん？







向こうはスマホに集中してて多分こちらに気付いてないけど、マスクしてたし目元しか見えてないけど、多分登坂さんだ。



思わず振り返ると、登坂さんらしき人はつい先ほど私が出てきたドアに、慣れた手つきでカードキーを当て、中に入っていった。





あれは、完全に安藤さんの部屋だ…。









.

２４→←２２

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す