月の雫

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「うっわー！やっば！でかっ！」

『お、大きい…！！』




想像よりもはるかに大きかったステージに、呆気に取られる私と海斗くん。前野さんはその後ろで他の社員さんと話している。




『海斗くん、三代目さんのコンサートで踊ったことあるって言ってなかったっけ？』


「いやあるけど、その時はアリーナだったから…ドームはやっぱ全然違いますわ…」


『な、なるほど』



アリーナとドームってやっぱり規模が違うのね…私はアリーナすら行ったことがないから分からないなぁ。





「ほら、そろそろ裏行って仕事するよ」


「『はい！』」






「三代目の皆さんがもう着いたみたいだから早めに挨拶しにいこっか。軽く自己紹介してね」


『え！』


「前野さん、健二郎さんいますか？」


「健二郎さんは多分仕事で明日入りかな…失礼します」



も、もう楽屋到着？！
ちょっ前野さん！気持ちの準備が！





「おー前野！久しぶり！」




楽屋の中は意外にも狭くて、メンバーさんと、ヘアメイクのスタッフさん1人だけしかいなかった。

もっと沢山人がいると思ってたからちょっと安心した。




「お疲れ様です。今日から現場に付かせていただきます、新入社員の2人です」


『藤原Aと申します。よろしくお願いします』


「平岡海斗です。よろしくお願いします！」



「あれ海斗くんってゼロの時サポートダンサーにいたよね？」


「はい！覚えてくれてありがとうございます！」


「LDHに入ったんだね。今回もよろしくね」


「よろしくお願いします！」


「前野も先輩頑張ってね」


「はい。ありがとうございます」



失礼します、と扉を閉める。




『い、今いた人って…リーダーの直人さんと直己さんと…岩田さんと…エリーさんでした？」


「惜しい！あと今市さんも奥にいたよ。でも藤原さんめっちゃメンバー覚えたね。偉い偉い」


『ああありがとうございます…』



所属の名前と顔を覚えただけで上司に褒められる私って…









「藤原さん。ケータリングってもう来た？」


『はい。先程いらっしゃって、もう終わって帰られてると思います』


「おっけーじゃあ次なんだけど…」







私たちはその後、主に東京から持ってきたリハに必要な小物を楽屋の部屋ごとに設置したり、その時に出たゴミや、ステージの方で出たゴミを集めたり…まさに雑用を任せられた。


でも、思っていたよりも大変ではなくて安心していた。





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