月の雫

１１ ページ11

.





"秘密の場所"へ案内してくれるという安藤さんに続いてエレベーターに乗り込み、降りたのはなんと6階だった。







『ここってレコーディング室とかある階ですよね？絶対に入るなってオリエンテーションの時に言われました』

「まあねぇほんとはダメかも。でも3階の休憩ルームいつもうるさいじゃん？あたしあの感じがほんと嫌いで」

『ま、まあ…』



確かに、入ったことはあるけど女子の先輩方の溜まり場って感じで、空いてる席はあっても座りにくい雰囲気だったな…



長い廊下を2人で歩いていると、男性の社員さんが奥の部屋から出てきた。





「あー加藤さん。お疲れ様です。ちょうど良いタイミング」


「おーアコちゃん久しぶり。まだあんなところでお昼食べてんの？」


「そうですよ。それでこの子もあそこ出入りOKにしてほしくて。今年入った新入社員の藤原さんです」


『はっ初めまして！藤原Aと申します』


「どうも。加藤です。まあうるさくしなきゃいいよ」


「やった。ありがとうございます」


「中にタカヒロいるけど会う？」


「いや、めんどくさくなるからいいです」


「そうだと思った。じゃあごゆっくり」


「お疲れ様です」


『お、お疲れ様です』






加藤さん、という方にお辞儀をしてそのままさらに奥へ進む安藤さん。

タカヒロってあのEXILEのTAKAHIROさんのことかな？あんまり私も詳しくないけど…安藤さんは知り合いなのだろうか。



廊下の1番奥。
突き当たりでやっと安藤さんは足を止めた。






「もう加藤さんに言ったしこれで藤原さんも自由に出入り出来るから」

『あっありがとうございます』

「いつもここで1人でご飯食べてるんだ。ゲームしたりしながら」



安藤さんがそう言いながら重い扉を開けた先は、非常階段の踊り場だった。







.

１２→←１０

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す