わたあめよりも。【鍾会】 ページ1
「このわたあめ 士季の髪みたいにフワフワだ
ね」
わたあめを片手に こちらを笑顔で見つめてくるAは 私の唯一の友であり 唯一の初恋の相手だ。
私は友がいないのではなく 要らないだけ。
自分にそう言い聞かせていたが 彼女は特別な存在だった。
いつも明るくて元気で 笑顔がかわ…素敵で
一緒にいるとありのままの自分でいられる。
そんな彼女と 今日は夏祭りというくだらない催しにやってきている。
まぁAと一緒にいられるなら どんなものでもよかった。
「…ねぇ 士季 聞いてるの?」
「…!? な なんだ?」
「……。その様子だと聞いてないね?考え事でもしてた?」
「…べ 別に?何のことだか…」
「ふぅ〜ん…(ニヤニヤ)」
な なぜニヤニヤする!というか なぜそんなにお見通しなんだ! …と思うのは今日だけのことではない。前からそうだった。
Aの前では嘘をつけない。だからありのままの自分でいられるというのも 一部関係しているのだが…
「士季 これでもくらえっ!」
「!!??」
いきなり口元にフワフワしたものを押しつけられた。…甘い。
これはわたあめか…と思いながら棒を持つ。
「おい A!これは何の真似だ!」
「何の真似って…わかんないけど…。わたあめ美味しい?」
「まぁ 美味しくないこともないが…」
口の中が甘ったるい。今はそれしか感じなかった。
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作者名:ミドリ | 作成日時:2017年10月29日 18時