6話 ページ7
受け身を取ったままの体制で重力に従い地面へと落ちる俺の背中に激痛が走る
わけもなく背中に感じたのは俺を抱き抱える類の腕の感覚と温もりだった。
『っ…類…』
そっと閉じていた目をゆっくりと開き視界に写る久しい彼の顔に心臓は心拍数を上げる。
原因は勿論恋心ではなく恐怖である。
類「ッ…A、君は今何をしていたのか理解しているのかい?」
彼からの言葉を無視し腕から降り抱えていた猫を地面に降ろし逃せば、目の前にいる彼を見つめる。
震える体をバレないように右腕で自分の左腕を掴めば深呼吸する。
『久しぶりだね類。こうやって話すの。』
先程の質問に答えずにそう一言言えば目の前の彼は真剣な顔つきのまま俺を見つめる。
『そんな怖い顔しないでよ。ただ猫を助けただけ。何か悪いことでも?』
類「それは自分の命を投げ捨ててでもやらないといけない事なのかい?」
『投げ捨てるだなんて大袈裟だなぁ。それに誤解だよ。投げ捨ててたら俺は今死んでる。でもほら、俺は今生きるでしょ?』
類「…A」
『俺って普段役立たずだしどんな形でも役に立ちたい。今回みたいにさ。』
類「A」
『もうやめてよ。類が…類がいるから俺は幸せになれない。だからねぇ類、お願い。もう俺に関わらないで…!』
すぐ我にかえる。
俺は何を言っているのだろう。
俺が言いたいのはこんな事じゃないだろ
いつのまにか俯いていた俺は顔を上げ目の前の彼の顔を見た瞬間大きく脈を打った。
『ぁ…ッ……』
視界がぐらつく。
目の前にいる彼…類の顔はまさに絶望と言ったような表情だ。
俺はすぐに顔を背け左腕を掴む右手に力が篭る。
すぐに弁明しなければ。
これじゃ…これでは彼が…類が一方的に悪いような言い方をしてしまっているじゃないか。
違う。類は悪くない。
悪いのは全部俺でこんな関係になったのも全部、全部何もかも俺が悪いのに
自分の口元を手で抑えれば襲ってくる吐き気を耐える。
『ち、ちが…、…ごめん、なさい…類ごめん…、ごめんなさい…。』
ダメだ。涙が溢れ出してくる。
最低だ。
俺、最低なことばっかしてる。
この空気が耐えれなくなった俺はすぐに校舎の中へと走り出し男子トイレへと駆け込む。
個室へと入れば襲ってくる吐き気に従い吐き出す。
いつまで経っても収まらない涙さえにも嫌気がさす
早く図書室に戻ろう。
腫れた目と涙がバレないように前髪で目を隠せば図書室に向かい始めた。
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甲殻類アレルギー - kNaeさん» コメントしてくださりありがとうございます!そう言って頂けてとても嬉しいですッ頑張って更新してまいりますので何卒よろしくお願いいたしますッ (2022年11月12日 20時) (レス) id: df7a45bd54 (このIDを非表示/違反報告)
kNae - 凄くいい!!続き待ってます!! (2022年11月3日 22時) (レス) id: 8fd6d2801c (このIDを非表示/違反報告)
甲殻類アレルギー - 陽南さん» そう言っていただけて凄く嬉しいです!更新頻度バラバラですが、それでも応援してくださるとありがたいです!これからもよろしくお願いします! (2022年10月24日 21時) (レス) id: df7a45bd54 (このIDを非表示/違反報告)
陽南(プロフ) - コメント失礼致します。好みの小説に出会えました。これからも続きを楽しみにしております、無理がない程度に頑張って下さい! (2022年10月16日 12時) (レス) @page27 id: 14268cddd3 (このIDを非表示/違反報告)
甲殻類アレルギー - 冬雪さん» 今更ながらの返信お許しください、!自身の妄想を書き散らかしてるものにそう言っていただけで感極まりないです!!冬雪様のメッセージを糧に更新頑張っていきます!!これからも何卒よろしくお願い致します! (2022年9月19日 14時) (レス) id: df7a45bd54 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:甲殻類アレルギー | 作成日時:2022年3月22日 1時