3話 ページ4
嘘だと自分に言い聞かせながらも今朝の母さんの言葉が頭をよぎる。
距離がありちゃんとは聞こえなかったものの確かに俺の学校の話をしようとしていた。
きっと母さんが言おうとした話はこのことだったのかも知れない。
手に変な冷や汗をかきながら音楽が止まったままのイヤホンを耳に押し入れ盗み聞きをする。
が、やはり聞けば聞くほど神代 類。彼の話なのだ。
心臓の心拍数が上がるのを感じながら開いている本に集中しようとするもののこんな時に本を冷静に読むことなど出来ず手が震えてしまう。
するとふと自分の席に近づく音が聞こえ身構える。
音は自分の机の目の前で止まり顔を少し上げればやはり誰か自分の目の前にいる。
バンッと言う音と共に自分の机に置かれた手に肩を揺らせばイヤホンを取り、目の前の彼に目を向ける。
『…何?司くん』
司「お前の名前って神代 Aだったよな?」
なんとなく話の内容はわかっていた。きっと…
『うん。それが何?』
司「それじゃあ神代 類についても知っているか?」
類について聞かれると。
『知らない。…確かに俺と類は双子だけどそもそもお互い話さないし顔すらまともに合わせない。最後に顔合わせたのも1週間以上も前だし覚えてすらない。そんな役立たずの俺に類について聞かれても教えられること何一つ無いから。』
ぶっきらぼうにそう言えば本へと目を戻す。
手の震えはまだ残っており本の内容が頭に入ってこない。
目の前にいる彼…天馬司。
俺は彼が苦手である。
別に彼になにかされた訳でも言われた訳でもなく、ただただ今は亡き親友の湊人に重なって見えてしまうからだ。
司「…そうか、それは…その…すまない悪かった。」
そう彼からの謝罪が耳に入ってくれば本を持つ手に力が入る。
『別に謝って欲しいとかじゃないから気にしないで。…なんで類を探してるのかは分からないけど役に立たなくてごめん…。目的、果たせると良いね。』
彼は何一つ悪くない。
悪いのは全て俺であって彼が謝る必要なんてこれっぽっちも無いのに。
なのに…
俺が喋るだけで誰かを傷つけてしまう
タイミングよくチャイムが鳴れば教室に教師が入ってくる。
ホームルームの時間だ。
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甲殻類アレルギー - kNaeさん» コメントしてくださりありがとうございます!そう言って頂けてとても嬉しいですッ頑張って更新してまいりますので何卒よろしくお願いいたしますッ (2022年11月12日 20時) (レス) id: df7a45bd54 (このIDを非表示/違反報告)
kNae - 凄くいい!!続き待ってます!! (2022年11月3日 22時) (レス) id: 8fd6d2801c (このIDを非表示/違反報告)
甲殻類アレルギー - 陽南さん» そう言っていただけて凄く嬉しいです!更新頻度バラバラですが、それでも応援してくださるとありがたいです!これからもよろしくお願いします! (2022年10月24日 21時) (レス) id: df7a45bd54 (このIDを非表示/違反報告)
陽南(プロフ) - コメント失礼致します。好みの小説に出会えました。これからも続きを楽しみにしております、無理がない程度に頑張って下さい! (2022年10月16日 12時) (レス) @page27 id: 14268cddd3 (このIDを非表示/違反報告)
甲殻類アレルギー - 冬雪さん» 今更ながらの返信お許しください、!自身の妄想を書き散らかしてるものにそう言っていただけで感極まりないです!!冬雪様のメッセージを糧に更新頑張っていきます!!これからも何卒よろしくお願い致します! (2022年9月19日 14時) (レス) id: df7a45bd54 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:甲殻類アレルギー | 作成日時:2022年3月22日 1時