29話 ページ30
落ちる。
深い深い海の底へ落ちていく感じ。
身動きが出来なくなっていく。
息苦しくて首を絞められているようなそんな感覚が襲いかかる。
抵抗したいのにもがきたいのにそれが出来なくて一方的に絞められて…
どこか懐かしかった。
『ッはぁ…はぁ…はぁ……ここ…俺の、部屋?ッ…!!』
そうだ首ッ!
俺は首を絞められてて…あぁそっか、夢か。
自分の首へと手を持っていけば触れる。と、視界が歪む。
頬に伝うその感覚と布に落ちるような音に泣いているんだと気付く。
『なんで俺泣いてんだよ…俺なんかが泣く資格、ないじゃん…ッ』
類に酷い事を言ってしまったかも知れない。いや言った。
黙って放っておけ。確かにそう思ってたけど口に出すつもりなんてなかったのに気付けば口から吐き出ていた。
類の言う事は正しいし好き嫌い関係なく家族である限り俺が身勝手な行動を取れば家族であり兄弟であり双子である類に迷惑が掛かる。
そんな事を知ってたのになんで俺こんなことばっかしてんだろ…
『なんで俺生きてんだよッ…』
涙も嗚咽も止まらない。消えろよ俺。なんでのこのこ生きてんだよ。
湊人のいない人生なんてなんの価値もない。
そんな時部屋のドアからノック音が聞こえる。
思わず寝転がり寝たふりをする。
……なんで寝たふりしたんだろ。
そう思っているとドアが開く。
廊下の電気が目を閉じてても眩しく感じる。
類「A」
なんで類が俺の部屋に?…やっぱ怒ってんのかな。当たり前だよなそりゃ
類「まだ寝ているんだね。一体いつまで寝ているつもりだい?あの時からもう、何日も経ってしまっているんだよ?」
あの時って俺と類が口論になった時、だよね?
類「Aには申し訳ないけど勝手にスマホを開けてシフトを確認して事を説明して休ませてもらったよ。…君は一体どれだけのシフトを入れているんだい、?」
類「Aがバイトを頑張っているのは知っているしそれを止めるつもりはない。Aが僕と一緒にいる事を避けているのも知っている。僕と一緒に居たくない、だからすぐに家を出る為にその費用を貯めているんだろう?」
類「僕はただAと限られた時間を笑って共に過ごしたいだけなんだって…今の君に言ったところで意味はないのだけれどね」
『……』
類「僕はそろそろ行くよ。昼頃からショーがあるからね」
類が出たのか扉が閉まる音が聞こえれば起き上がり端末へと手を伸ばす。
『……あの日が近いなぁ…』
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甲殻類アレルギー - kNaeさん» コメントしてくださりありがとうございます!そう言って頂けてとても嬉しいですッ頑張って更新してまいりますので何卒よろしくお願いいたしますッ (2022年11月12日 20時) (レス) id: df7a45bd54 (このIDを非表示/違反報告)
kNae - 凄くいい!!続き待ってます!! (2022年11月3日 22時) (レス) id: 8fd6d2801c (このIDを非表示/違反報告)
甲殻類アレルギー - 陽南さん» そう言っていただけて凄く嬉しいです!更新頻度バラバラですが、それでも応援してくださるとありがたいです!これからもよろしくお願いします! (2022年10月24日 21時) (レス) id: df7a45bd54 (このIDを非表示/違反報告)
陽南(プロフ) - コメント失礼致します。好みの小説に出会えました。これからも続きを楽しみにしております、無理がない程度に頑張って下さい! (2022年10月16日 12時) (レス) @page27 id: 14268cddd3 (このIDを非表示/違反報告)
甲殻類アレルギー - 冬雪さん» 今更ながらの返信お許しください、!自身の妄想を書き散らかしてるものにそう言っていただけで感極まりないです!!冬雪様のメッセージを糧に更新頑張っていきます!!これからも何卒よろしくお願い致します! (2022年9月19日 14時) (レス) id: df7a45bd54 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:甲殻類アレルギー | 作成日時:2022年3月22日 1時